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マスクやPCR検査代は?コロナウイルス関連の医療費控除まとめ

マスクやPCR検査代は?コロナウイルス関連の医療費控除まとめ

一定の医療費を申告することで、所得税の減税効果のある医療費控除。しかし一見医療費のように見えても、実際に医療費控除が受けられるかは事例によってことなります。また、2020年はコロナウイルスが世界的に猛威をふるったことで、コロナウイルス関連で出費があった方も多かったのではないでしょうか。

この記事ではコロナウイルス関連での出費について医療費控除の対象になるものとならないものを紹介していきます。しっかり予習して間違いのない確定申告にしていきましょう。

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医療費控除とは

医療費控除とはその年の医療費の支払いが一定額以上のとき、その医療費の金額を所得(1年を通じた利益のようなもの)から差し引くことができる制度です。

例えば、税率が20%の人が20万円の医療費控除を受けることで、20万円×20%=4万円の所得税の減少が見込まれます。

医療費控除のイメージ

医療費控除の対象になる金額

必ずしもすべての医療費が医療費控除の対象となるわけではありません。

医療費控除の対象となる金額は次の4つを満たすものです。

  • 自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のための医療費であること
  • 年内に実際に支払ったもの
  • 支払った医療費のうち10万円を超える部分の金額
  • 最大200万円までが上限

(参考)国税庁:医療費を支払ったとき(医療費控除)

 

「自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のための医療費」とは、自分自身と同居あるいは生活のために仕送りをしている家族の医療費のことを指します。例えば自身が大学生の子供に生活費を仕送りしていて、その大学生の病気の治療費を払ったのであれば、その治療費も医療費控除の対象となります。

「年内に実際に支払ったもの」とは現実に支払ったものを指します。たとえば年をまたいで入院中した場合、年内に未精算となった部分については医療費控除の対象とはなりません。

また上記の「10万円を超える部分の金額」とは正確には次のように計算されます。

医療費控除の対象となる金額=【実際に支払った医療費の合計額】-【保険金などで補てんされた金額】-10万円(※)

(※) その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額

医療費控除の対象となる金額

保険金などで補填された部分については、医療費控除の対象にはならない点に注意です。

 

なお上記の原則的な取り扱いのほか、「セルフメディケーション税制」という、一定の市販薬等を購入した場合の医療費控除の特例制度もあります。( 厚生労働省HP セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について

 

医療費控除の対象になるもの、ならないものをわかりやすく解説!

では医療費控除の対象となる医療費とはどういったものを指すのでしょうか?

【基本的な考え方】

  • 治療や療養に必要な費用→医療費控除となる
  • 予防に必要な費用→医療費控除の対象とならない

※事例によって例外はあります

 

所得税法73条2項には次のように規定があります。

医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう

出典:所得税法73条2項

 

ここでいう「人的役務の提供」とは助産などの医療サービスのことを指します。

大事なポイントとしては「医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な」という箇所です。医療費控除の対象となるものは、基本的に診療や治療などに必要なものに限るということが条文から読み取ることができます。

したがって「予防」を目的とした費用については医療費控除の対象とならない可能性があります。事例ごとに取り扱いが異なりますので、コロナウイルスに関連したそれぞれの具体的な判定については次章から詳しく確認していきましょう。

マスクやPCR検査代は?コロナウイルス関連の医療費控除まとめの画像1

【コロナウイルス】医療費控除の対象になる?ならない?:マスク

多くの方が購入している、新型コロナウイルスの感染防止に手放せないマスク。このマスクは「感染予防」のためのものであり、治療とは異なるため、使い捨て・布製を問わず医療費控除の対象とはなりません。

 

【コロナウイルス】医療費控除の対象になる?ならない?:アルコール除菌

除菌ウェットティッシュやスプレーなどのアルコール除菌グッズも感染予防に必要です。しかしマスクと同様にアルコール除菌も感染予防が目的ですので、医療費控除の対象とはなりません。

 

【コロナウイルス】医療費控除の対象になる?ならない?:体温計

感染予防の観点から、体温が37.5℃以上の人については施設への入場を断るようになってきました。自宅でも体温を測る機会が増えたのではないでしょうか。そのため接触・非接触を問わず体温計の需要が増えました。

体温計についてもマスクと同様に感染予防を目的とするものですので、医療費控除の対象となりません。

 

【コロナウイルス】医療費控除の対象になる?ならない?:PCR検査 感染疑い

コロナウイルスの診察として一般的となったPCR検査の費用についてはどうでしょうか。

自身に感染の疑いがあり、医師や保健所の助言や判断によりPCR検査を受けた場合は「医師等による診療や治療のため」と判断されるため、医療費控除の対象となります。

 

【コロナウイルス】医療費控除の対象になる?ならない?:PCR検査 自主的

一方で旅行や帰省のときに、「万が一にも自分が感染源とならないために」と自主的にPCR検査を行った人もいるのではないでしょうか。

このような自主的なPCR検査については「医師等による診療や治療のため」にはあたらないため、医療費控除の対象となりません。

ただし、検査の結果、陽性が判明し引き続きその治療を受けた場合には、検査費用は医療費控除の対象となります。

 

【コロナウイルス】医療費控除の対象になる?ならない?:治療費

仮に新型コロナウイルスに感染し、入院が必要となった場合には原則としてその治療費は公費で負担されます。

これは新型コロナウイルスが指定感染症として定められたため、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の42条に基づいて、その規定にもとづくためです。

したがって、公費が負担するため自身が負担する金額はなくなりますので、医療費控除の対象とはなりません。

 

【コロナウイルス】医療費控除の対象になる?ならない?:オンライン診療

感染予防の観点からオンライン診療を導入する医療機関も増えてきました。風邪などの治療でも病院に行くことなく、自宅で診察が受けられるオンライン診療には

  • ①オンライン診療料
  • ②オンラインシステム利用料
  • ③処方された医薬品の購入費用
  • ④処方された医薬品の配送料

がかかります。

 

これらについては、①~③までは「医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入」にあたりますので、医療費控除の対象となります。

一方で④処方された医薬品の配送料については医薬品の購入費用にはあたらないため医療費控除の対象とはなりません。

 

【コロナウイルス】医療費控除の対象になる?ならない?:リモートワーク関連でのセルフケア

新型コロナウイルスの影響で広くリモートワークが導入されました。オフィスとは異なる環境である自宅での就業によって、机が合わないなどの理由で肩こりなどを悪化させた人もいるのではないでしょうか。

体のケアのためにマッサージグッズなどを買った人もいるかもしれません。このようないわゆるセルフケアグッズについては治療を目的としたものではないため、医療費控除の対象とはなりません。

ただし、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゅう師等の資格者による施術については医療費控除の対象として認められます。

 

まとめ コロナウイルス関連で医療費控除の対象となるものの一覧

以上の内容をまとめると、以下の一覧のようになります。

費用の種類 医療費控除の対象となるか
マスク ×
アルコール除菌 ×
体温計 ×
PCR検査 感染疑い
PCR検査 自主的 ×(自主的なもので陰性)
〇(自主的なもので陽性)
治療費 ×(公費負担のため)
オンライン診療 〇(ただし医薬品の配送料は対象外)
リモートワーク関連でのセルフケア ×

新型コロナウイルスとの闘いはまだこれからも続く見通しです。感染予防をはじめとした費用はいまだに生じやすい環境といえます。医療費控除の対象となるものとならないものを正しく見極めて、正確な確定申告を行っていきましょう。

また、令和3年の税制改正ではコロナ禍でも企業の競争力を失わせないよう、デジタル化に着目した制度が多く盛り込まれました。活用できるものがないかチェックしましょう。

Back Office Magazine
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Back Office Magazine編集部ライター鈴木悠
記事の作成・監修者 鈴木悠
Back Office Magazine編集部ライター

「ややこしい話をわかりやすく」をモットーに執筆する編集部ライター。今まで国内最大手を含む税理士法人2社を経験し、税務会計に6年半携わる。年間30超の法人・個人の税務顧問を務め、法人税・所得税・消費税を中心としたアドバイザー業務に従事した。売上100億円規模の企業をはじめ、担当した業種は飲食・製造・卸売り・観光・アパレルなど。税務の本業の傍ら、副業でウェブサイト運営やYouTube運営を経験したのをきっかけに、メディア作りに魅力を感じ現職に就く。

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