経理・税務

【令和3年の税制改正】カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設

【令和3年の税制改正】カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設

「カーボンニュートラルに向けた税制改正って?」

「今回創設された投資促進税制とは?」

このような疑問をお持ちではないでしょうか?

この記事では、カーボンニュートラルの税制改正について詳しく知りたい人に向け、

  • 令和3年度の税制改正の詳細と適用されるための条件
  • 税制改正で押さえておきたい2つのポイント
  • 脱炭素社会に向けての税制全体のグリーン化

などについてを分かりやすく解説していきます。

カーボンニュートラルやグリーン化などの動向を的確に捉え、「損をしない事業運営」を行っていきましょう。

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カーボンニュートラルに向けた税制改正とは

【令和3年の税制改正】カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設の画像1

カーボンニュートラルに向けた税制改正とは、

「生産プロセスでの脱炭素化に寄与する設備」

「脱炭素化を加速させる製品を生産する設備」

などの導入促進を図るために創設された税務上の支援措置です。

「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」という高い目標(カーボンニュートラル)に向けて、創設された背景もあります。

 

カーボンニュートラル 具体的な税制優遇

カーボンニュートラルに向けた投資促進税制では、対象資産の取得価額の50%の特別償却、または取得価額の5%の税額控除との選択適用が受けられます。

また、対象資産のうち温室効果ガスの削減に著しく効果のあるものについては10%の税額控除も選択可能。

ただし、デジタルトランスフォーメーション投資促進税制(注1)と同時に税額控除を受ける場合、2つを合わせて適用を受ける期の法人税額の20%が税額控除の上限となりますのでご注意ください。

(注1)デジタルトランスフォーメーション投資促進税制とは、企業のデジタル化を推進するための税制で、令和3年の税制改正において創設されました。

 

カーボンニュートラルの税制改正が適用されるための条件

カーボンニュートラル投資促進税制の対象となるための条件は下記の通りです。

  • 青色申告書を提出している法人
  • 「中長期環境適応計画(仮称)」についての認定を受けている
  • 計画に記載された一定の資産を取得し、事業の用に供する

「中長期環境適応計画(仮称)」とは産業競争力強化法の改正に伴って創設される、気候変動に適応するための予定の計画です。

 

カーボンニュートラルに向けた税控除の対象となる資産

対象となる資産は下記の通りです。

  • 中長期環境適応生産性向上設備:生産工程の効率化による温室効果ガスの削減、もくは、その他の中長期環境適応(仮称)に用いられるもの
  • 中長期環境適応需要開拓製品生産設備:温室効果ガスの削減に資する事業活動に寄与する製品。その他、主務大臣が定める製品の生産に使用される設備

以上が対象となる資産です。

 

カーボンニュートラル税制 大企業には繰越欠損金の100%控除も

赤字の繰越ができる「青色欠損金の繰越控除」制度では、大企業は一部の控除しか原則認められていません。しかし下記の投資計画を行う場合は一定期限を設けて「繰越欠損金の控除条件を最大100%まで引き上げる」措置がされます。

  • カーボンニュートラル実現に向けた投資
  • デジタルトランスフォーメーション実現に向けた投資
  • 事業の再構築や再編に向けた投資

 

今までは投資などで赤字が出たとしても、翌年度以降の法人税の計算で控除できる金額が限られていました。しかしカーボンニュートラル等に関する投資で赤字が出たとしても、最大でその全額を法人税の計算に反映することができるため、投資を後押しする制度といえます。

 

令和3年度の税制改正で押さえておきたいポイント

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令和3年度の税制改正で押さえておきたいポイントは下記の通りです。

  • 改正された税制が適用される時期について
  • 大企業が税額控除を受けられないケースについて

それぞれのポイントについて分かりやすく解説していきます。

 

改正された税制が適用される時期について

今回改正された税制が適用される時期は、「産業競争力強化法」の改正法の施行日から2024年(令和6年)3月31日までとなっています。

適用条件については、令和6年3月31日までの間に

  • 中長期環境適応需要開拓製品生産設備
  • 中長期環境適応生産性向上設備

を取得して、国内にある事業のために供する必要があります。

 

大企業が税額控除を受けられないケースについて

下記の①~③のいずれにも該当しない大企業については、「研究開発税制」「地域未来投資促進税制」「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」「デジタルトランスフォーメーション投資促進税制」の税制が適用されません。

【適用が受けられない場合】

  • 当期所得 ≦ 前期所得
  • 当期の継続雇用者の給与総額 > 前期の継続雇用者の給与総額
  • 当期設備投資額>減価償却費の10%

 

上記に加え、「当期設備投資額 > 減価償却費の30%の税額控除」となり、2020年3月31日以前に開始した事業年度については10%となっています。

地方税で「特別償却」を選択した場合、全ての法人に係る法人住民税および、法人事業税について適用されます。

一方で、「税額控除」を選択した場合、中小企業者等に係る法人住民税にのみ適用される点に留意しておきましょう。

なお、大企業とは、資本金または出資金が1億円超の法人などの法人を指します。

 

車体課税の見直し

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脱炭素社会に向けて、自動車についても税の見直しがされました。

以下にて、車体課税で見直しが行われた「自動車重量税」「自動車税」の要点について解説していきます。

 

自動車重量税

自動車重量税は、免除などの特例措置(自動車重量税のエコカー減税)に見直しが行われました。

見直し後の改正案の要点(乗用車)は下記の通りです。

  • 適用期限が2年延長された
  • 軽油自動車以外は、令和2年度燃費基準ではなく、新設された「令和12年度燃費基準」に対する達成の程度が要件となる
  • 軽油自動車の自動車重量税は、「令和2年度燃費基準」の達成が基準となる(令和4年5月1日施行)

 

また、バス(車両総重量が3.5t以下の揮発油自動車または軽油自動車)に係る自動車重量税について、下記に該当する場合、特例措置が適用されます。

  • 揮発油自動車のうち、平成30年度排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年度排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの
  • 平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの
  • 軽油自動車のうち、平成30年排出ガス規制に適合するもの
  • 平成21年排出規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物等の排出量が少ないもの

 

上記に該当する場合、下記の特別措置が適用されます。

  • 令和2年度燃費基準に対する達成の程度が105%である自動車は、新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税を免除とする
  • 令和2年度燃費基準を達成している自動車は、新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を75%軽減する

 

また、下記に該当する場合にも特別措置が適用されます。

  • 揮発油自動車のうち平成30年排出ガス規制に統合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より25%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの
  • 平成17年排出ガスに適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの
  • 軽油自動車のうち平成21年排出ガス規制に適合するもの

 

上記に該当する場合、下記の特別措置が適用されます。

  • 令和2年度燃費基準に対する達成の度合いが110%である自動車は、新車にかかる新規検査の際に納付する自動車重量税を免除とする
  • 令和2年度燃費基準に対する達成の程度が105%以上である自動車は、新車に係る新規検査の際に納付する自動車重量税の税率を75%軽減する

参考:国税庁『乗用車の新たな燃費基準に関する報告書(令和12年度燃費基準)』

 

自動車税

自動車税について、環境性能に応じた非課税(または1~2%の税率の適用区分)について見直しが行われています。

改正後の要件は下記の通りです。

  • 自家用自動車  ⇒令和12年度燃費基準に対する達成度合い
  • 営業用乗用車  ⇒令和12年度燃費基準に達する達成度合い
  • バス(2.5t以下)  ⇒令和2年度燃費基準に対する達成度合い(もしくは平成27年度燃費基準に達する達成度合い)
  • バス(2.5~3.5以下)  ⇒令和2年度燃費基準に対する達成度合い(もしくは平成27年度燃費基準に対する達成度合い)
  • トラック  ⇒平成27年度燃費基準に対する達成度合い

 

ただし、バス・トラック(車両総重量が3.5tを超えているもの)のうち、軽油自動車で平成21年排出ガス規制に適合するものは特別措置から除外されます。

次に、 自動車の税率に係る「種別割のグリーン化特例」も改正されておりますので、その要点について見ていきましょう。

まず、下記に該当する自動車(自家用乗用車を除く)の税率は、おおむね100分の75軽減されます。

  • 電気自動車
  • 天然ガス自動車で、平成30年排出ガス規制に適合するもの
  • 天然ガス自動車で、平成21年排出ガス規制に適合し、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの
  • プラグインハイブリッド自動車
  • 平成30年排出ガス規制に適合し、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車
  • 平成17年排出ガス規制に適合し、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、令和12年度燃費基準に対する達成の度合いが95%以上、かつ、令和二年度燃費基準を達成しているもの
  • 平成30年排出ガス規制(または平成21年排出ガス規制)に適合する自動車のうち、令和12年度燃費基準に対する達成の度合いが90%以上、かつ、令和2年度燃費基準を達成しているもの

上記のいずれかに該当するものは、おおむね100分の75の税率が軽減されます。

参考:自由民主党『令和3年度税制改正大綱』

 

カーボンニュートラルで経営環境の改善を図る

カーボンニュートラルは、「気候危機の改善」を軸に、日本全体の経済環境改善を図るための施策です。

コロナの悪影響で肩を落とす個人や企業は多いです。

しかし、コロナの影響で「分散社会の推進」「税制改正」などは加速していますから、より良い日本の経済社会の足音は少しずつ、ゆっくりと聞こえはじめています。

このチャンスの足音を聞きもらさないよう、常に最新の情報をキャッチアップしていく必要があるといえるでしょう。

『Back Office Magazine』では、こうした税制の情報やバックオフィス業務に関するノウハウを随時配信しています。

「効率的に業務を進めたい」「積極的にキャリアアップを目指していきたい」という人は、ぜひこれからも『Back Office Magazine』をご覧になってください。

令和3年度、法人税の税制改正については『【法人税】令和3年の税制改正!各省庁の要望からみる改正の見通し』を参考にどうぞ。

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ライター山田
記事の作成者 山田
専業ライター

キャリアアドバイザー、マーケターなどの仕事経験を経て、現在はライター兼メディアコンサルとして活動中。都会に翻弄されっぱなしのかっぺですが、この実態のない大都会を、いつか見返してやろうと奮闘しています。https://twitter.com/0304_yamaktm

Back Office Magazine編集部
記事の監修者 Back Office Magazine編集部
hiqers株式会社

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