会社設立にあたって初期費用はできるだけ抑えたい、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
初期費用の中でも、賃貸オフィスを借りる費用は多くを占めますので、できるだけ抑えたいところです。
そういった場合には、創業初期を費用の安いシェアオフィスやレンタルオフィスで運用し、うまく軌道にのせる方法があります。
本記事ではオフィスを使うにあたっての注意点、各形態のオフィスのメリットやデメリットを解説していきます。
会社設立にあたって、オフィス費用を抑えたい方はぜひ、内容をご確認ください。
会社法の定めと会社設立時の住所
会社の本店所在地は、定款に必ず記載しなければならないと会社法で定められています。
本店とは、会社の事業の本拠となる場所のことを指し、税務署の管轄は本店所在地によって決められています。
会社設立時の所在地は、業種によっては自社のブランディングに関わる大事な項目なのです。
オフィス選びの考え方
バーチャルオフィスやレンタルオフィス、賃貸オフィスに自宅兼事務所と会社の設立住所はいくつかの選択肢がありますが、基本的なオフィス選びの考え方を見ていきましょう。
立地
立地場所から企業の信用度や運用の実力が見られる事があるので、オフィスをどこに置くか、はとても大事です。
業種によってはブランディング効果を狙うこともできますので、事業に合わせた立地の選択が重要です。
会社所在地を決める場合、対象となるクライアントが個人か企業なのかによって、基準が変わります。
BtoBの事業では、会社自体の信用度がビジネスの結果に影響します。
地価が高い土地にオフィスを構えていると、高い賃料を支払うだけの経営基盤がある会社と判断され、会社の信用を獲得できます。
BtoCのビジネスでは、来客の機会が少ないため郊外にオフィスを置いて賃料を抑えることもできますが、ブランディングのためにあえて都心に会社所在地を置きたいケースもあります。
この場合は、バーチャルオフィスを有効に活用しましょう。
広さ
オフィスの面積は事業規模に合わせましょう。
数人で業務を行い、来客もない事業の場合はレンタルオフィスで事足りるかもしれません。
一人あたりの適正オフィス面積は、デスクワークなら約10㎡とされています。
事業規模や従業員数に見合わない広さのオフィスは余計なコストが発生しますので、適切な規模のオフィスを選ぶことが重要です。
費用
家賃や光熱費など、毎月発生するランニングコストは売上の8%以下が適正とされています。
業種によっては、8%に収まらないこともあると思いますが、売上に対して割けるオフィス費用を把握しておきましょう。
オフィス形態ごとのメリット・デメリット
ここからは、オフィス形態ごとのメリット・デメリットを見ていきましょう。
シェアオフィス、レンタルオフィスとは
レンタルオフィスは、一人もしくは二人程度の小さなスペースのオフィスを借りる形態のオフィスです。
会議室や事務用品などは設置済みなので、すぐに事業をスタートできます。
多くのレンタルオフィスは会社登記が可能です。
レンタルオフィスとシェアオフィスの違いは専用の個室の有無です。
シェアオフィスは、コワーキングスペースのように区切りがありません。
シェアオフィスはレンタルオフィスよりも賃料が割安なところが多いため、コスト削減したい場合は、シェアオフィスも選択肢に入れましょう。
業務上、聞かれたくない話をする場合、専用の個室がないシェアオフィスを選ぶのはやめておきましょう。
レンタルオフィスのメリット
- すぐに事業スタートできる
- 初期費用とランニングコストが安い
- 事業規模にあわせて契約できる
レンタルオフィスの最大のメリットはコストを抑えられることです。
オフィスを借りると敷金や保証金が6~12か月ほどかかりますが、レンタルオフィスだと、賃料2か月程度の入会金で済みます。
初期費用を抑えることもできますが、賃貸オフィスと比べると賃料が安いことからランニングコストの削減ができます。
繁忙期と閑散期がある業種では、忙しい時に合わせて人を増やす際に、レンタルオフィスの契約を更新して規模の拡大もできます。
レンタルオフィスのデメリット
- 信用の獲得が難しい
- 共有スペースの制限
- レンタルオフィスの運営会社に左右される
企業初期にはコストを抑えられるレンタルオフィスは多くのメリットを得られますが、事業規模の拡大に伴いデメリットが顕在化します。
取引や、法人口座を開設するにあたって、レンタルオフィスだと賃貸オフィスに比べて信用が得にくくなります。
賃貸オフィスは、入居までにそれなりの審査をクリアしなければならず、オフィスに入居している時点で一定の信用を獲得できるのです。
会議室など共有スペースの利用に制限があり、レンタルオフィスを運営している会社の方針に左右されてしまいますので、ある程度事業が拡大できたら賃貸オフィスへ移転することをおすすめします。
賃貸オフィス
賃貸オフィスを運用するにあたってのメリットとデメリットをみていきましょう。
賃貸オフィスのメリット
- 信用を得られる
- ある程度の人を雇うスペースがある
賃貸オフィスのメリットは、信用を担保できることです。
オフィスの入居審査は、信用情報や決算報告書、企業の将来性が見られるので、審査をクリアした時点で最低限の信用を得られるのです。
ビジネスを行う上で、高い初期費用とランニングコストを払ってでも、信用を得ることはとても重要です。
バーチャルオフィスやレンタルオフィスで事業をスタートする場合、事業が軌道に乗り始めたら賃貸オフィスへ移転することが望ましいでしょう。
賃貸オフィスのデメリット
- 初期費用がかかる
- 審査などで時間がかかる
賃貸オフィスを運用するにあたってのデメリットは、初期費用の高さです。
賃貸オフィスは敷金や保証金を合わせて、賃料の6か月から12か月分かかります。
オフィスの広さや場所にもよりますが、初期費用に100万円程度はかかると見ておくべきでしょう。
その後の月々の賃料も、バーチャルオフィスやレンタルオフィスに比べると割高です。
物件のオーナーが個人の場合すぐに入居が決まることもありますが、オーナーが法人の場合、審査に1週間以上かかることもあります。
自宅兼事務所
自宅を事務所として使う場合のメリットとデメリットも抑えておきましょう。
自宅兼事務所のメリット
- 初期費用や賃料がいらない
- 家賃を経費として計上し、節税できる
元々暮らしている自宅を事務所とするので、賃貸オフィスにかかる数百万円の初期費用がかからない点が大きなメリット。
賃料もかからないので、バーチャルオフィスやレンタルオフィスよりも割安です。
自宅の一部を事務所とすることで、家賃の一部を経費として計上でき、節税が出来る点も見逃せないメリットです。
自宅兼事務所のデメリット
- プライベートの確保が難しくなりがち
- 賃貸契約違反の可能性がある
コスト面で大きなメリットがある自宅兼事務所ですが、プライベートの確保が難しくなりがちです。
自宅と仕事場が同じスペースにありますので、オンオフの切り替えが難しく、自宅の電話番号を公開しているとさまざまな内容の電話がかかってくることも想定されます。
賃貸物件の場合、契約書に住居以外の利用が認められていないケースがありますので、事前に内容をよく確認しておきましょう。
まとめ シェアオフィスやレンタルオフィスを活用し創業初期を乗り切る
シェアオフィスやレンタルオフィスで法人登記し、会社を設立することは違法ではありません。
創業初期の苦しい資金繰りは、シェアオフィスやレンタルオフィスをうまく活用して乗り切りましょう。
電話受付や郵便転送、貸し会議室のオプションサービスが用意されていますので、ある程度の事業規模まで対応可能です。
シェアオフィスやレンタルオフィスは取引先の信用の獲得が難しいので、ある程度の事業規模に成長した時点で、賃貸オフィスへ移転するのが無難です。
事業内容や規模に合わせて適切な選択をしましょう。
また、資金繰りに悩んだときにはシェアオフィスなどの検討はもちろん、専門家への相談もおすすめです。