経理・税務

税理士の転職求人は売り手市場?20代・30代・40代の転職傾向や平均年収まで徹底解説

税理士の転職求人は売り手市場?20代・30代・40代の転職傾向や平均年収まで徹底解説

「税理士の転職に需要はある?」
「税理士が年収アップを目指すならどこに転職すべき?」

このように、現在税理士の転職市場について気になっていませんか?

税理士は現在売り手市場にあり、需要も高いので税理士の転職は難しくないと言えます。税理士の平均年収は高水準なので、税理士転職で年収アップすることも十分可能です。

こちらの記事では、税理士が売り手市場と言える理由から主な転職先、年代別の転職傾向まで詳しく解説しています。現在税理士として働いている人はもちろん、未経験で税理士転職を考えている人はぜひ参考にしてください。

税理士の転職は簡単?近年の税理士求人は売り手市場!

結論から言えば、2021年5月現在、税理士の転職は難しくないと言えるでしょう。

なぜなら、有効求人倍率は2倍以上で、完全失業率も低水準を推移しているためです。

厚生労働省によれば、令和元年度における税理士の有効求人倍率は2.12倍※となっており、1人あたり2社以上の求人がある計算です。

(※参照:税理士 職業情報提供サイト|厚生労働省

また、総務省と厚生労働省によれば、2016年〜2020年の5年間の完全失業率は以下の推移となっています。

  • 2016年:3.0%
  • 2017年:2.8%
  • 2018年:2.4%
  • 2019年:2.4%
  • 2020年:2.8%

(参照:労働力調査 平成29年平均 結果の要約|総務省統計局

(参照:雇用・失業情勢の動向|厚生労働省

(参照:労働力調査 2021年2月分結果|総務省統計局

2020年は過去2年間と比較して0.2ポイント上昇しているものの、2016年が3.0%だったことを踏まえると、完全失業率は減少傾向で低水準を推移しています。

このように、税理士の有効求人倍率と完全失業率から考えて、税理士の求人は売り手市場と言えるでしょう。

税理士の需要が増えている3つの理由

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税理士の転職が難しくない理由の一つとして、税理士の需要が増えていることがあげられます。

税理士の需要が増えているのには、以下3つの根拠があります。

  • 税理士を目指す人が減少している
  • 税理士法人・一般法人が増加している
  • 法改正などの影響で需要が伸びている

つまり、税理士は国内で人手不足にあるのが大きな要因です。ここからは、それぞれの根拠について詳しく解説していきます。

1.税理士試験を受ける人が減少している

税理士試験を受ける人は、年々減少傾向にあります。

国税庁の税理士に関する情報をもとに、2016年〜2020年までの5年間における税理士試験の受験者数や合格率をまとめました。

2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
受験者数 35,589人 32,974人 30,850人 29,779人 26,673人
5科目到達者数 756人 795人 672人 749人 648人
一部科目合格者数 4,882人 5,839人 4,044人 4,639人 4,754人
合格者合計 5,638人 6,634人 4,716人 5,388人 5,402人
合格率 15.8% 20.1% 15.3% 18.1% 20.3%

(参照:令和2年度(第70回)税理士試験結果|国税庁

(参照:令和元年度(第69回)税理士試験結果|国税庁

(参照:平成30年度(第68回)税理士試験結果|国税庁

(参照:平成29年度(第67回)税理士試験結果|国税庁

(参照:平成28年度(第66回)税理士試験結果|国税庁

このように、2016年から5年間にわたって受験者数は減り続けていることがわかります。

合格者数はおおむね横ばいではあるものの、2017年と2020年は合格率がほとんど変わらないのにも関わらず、合格者数は1,000人以上も減少しています。

税理士試験を受ける人が減っている現在、新しく税理士になる人が少ないので税理士の需要は高まりつつあると言えるでしょう。

2.税理士法人・一般法人が増加している

税理士法人と一般法人が増加しているのも、税理士の需要が高まっている要因の一つです。

日本税理士会連合会のデータによれば、2017年6月末時点での税理士法人の届出は3,561法人で、2021年3月末時点での税理士法人の届出は4,356法人となっています。

(参照:税理士登録者数|日本税理士会連合会

さらに、一般法人の設立数も年々増えており、東京商工リサーチによれば、2013年から2019年までの新設法人数は以下のように推移しています。

  • 2013年:110,202件
  • 2014年:119,726件
  • 2015年:125,188件
  • 2016年:127,985件
  • 2017年:132,306件
  • 2018年:128,973件
  • 2019年:131,292件

2018年には新設法人数が減少したものの、例年増加傾向にあることがわかります。

税理士の転職先は税理士法人だけでなく、一般法人の税務担当などさまざまです。

また、一般法人が設立されれば、税理士の転職先が増えるだけでなく、税理士のクライアントとなる法人も増えることになります。

そのため、税理士法人・一般法人が増加していることは、税理士の需要が高まっている要因と言えるでしょう。

3.法改正などの影響で需要が伸びている

たびたび行われる法改正も、税理士の需要に影響しています。

消費税をはじめ、税金にかかわる法改正が行われれば、企業は対応を迫られることになります。多くの場合、税金にかかわる業務は税理士に任せられるため、法改正によって税理士が必要となるケースは少なくありません。

もちろん、消費税だけではなくマイナンバーの導入や相続税法の改正など、税理士に影響を与える法改正はさまざまです。

このように、税理士の人材不足が進む中、法改正による影響も税理士の需要が伸び続けている要因と言えます。

未経験からでも税理士への転職は目指せる

未経験からでも税理士への転職を目指すことは十分可能です。

一般的に、税理士になるためには税理士試験に合格し、租税・会計に関する実務経験が2年以上必要です。税理士は売り手市場なので、税理士の資格を取得すれば転職は難しくないでしょう。

税理士の試験は11科目あり、そのうち5科目に合格すれば資格取得できます。一度の試験で5科目全てに合格する必要はなく、たとえば毎年1科目ずつ受験することも可能です。

また、国税庁が公開している税理士試験の結果では、合格率は全体の15%〜20%程度となっています。さらに、未経験者が税理士試験に合格するには、5,000時間〜6,000時間ほどの勉強時間が必要とされています。

税理士試験の難易度は比較的高いですが、長期的なプランを立ててコツコツ勉強すれば、未経験からでも税理士に転職が可能です。

簿記や会計の基礎知識がない未経験者が独学で効率的に学ぶのは困難なので、できれば資格学校やスクール、通信教育などを利用しましょう。

税理士の転職先は大きく分けて4つ

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税理士の転職先は大きく分けて以下の4つがあります。

  • 税理士法人
  • 会計事務所
  • 一般企業
  • コンサルティングファーム

ここからは、それぞれの転職先の業務内容や主なクライアント先について詳しく解説していきます。転職する前に、税理士としてのキャリアプランを考え、自分に合った転職先を選びましょう。

1.税理士法人

税理士の転職先として一般的なのが税理士法人です。税理士法人とは、2名以上の税理士を社員とし、税理士法によって定められた特別法人です。

税理士法人は大きく以下の3つに分類できます。

  • 大手税理士法人
  • 準大手税理士法人
  • 独立系の税理士法人

ここからは、それぞれの法人の特徴や主なクライアント、業務内容など詳しく解説していきます。

大手税理士法人「BIG4」

大手税理士法人「BIG4」とは、世界最大規模で展開している国際的な会計事務所グループ系列のことです。BIG4と呼ばれる税理士法人は以下の4社です。

  • KPMG税理士法人
  • EY税理士法人
  • デロイト トーマツ税理士法人
  • PwC税理士法人

BIG4のクライアントはグローバル展開している大手総合商社や製造業者、金融期間など、一部上場の大手企業や外資系企業が多い傾向にあります。

それぞれ、約550名〜600名ほどの税理士が在籍している大規模な税理士法人なので、クライアントに対してチーム制でサービスを提供することが特徴的です。

年収は業界の中でも高い傾向にあるものの、競争率が激しいので一定レベル以上の税理士としてのスキル・実績を求められます。

また、メガバンクをはじめとした金融機関の税務顧問や、国際税務など、国際色の強い案件の取り扱いが多いです。外資系企業や日系のグループ企業を担当する場合は、中級〜上級の英語力を求められる可能性があります。

未経験からBIG4に転職するのは困難ですが、実績を積めば将来的に転職を目指すのも選択肢の一つです。

準大手税理士法人

税理士の転職先として、準大手〜中小規模の税理士法人が選択肢としてあげられます。

準大手や中小税理法人のクライアントは一部上場の大手企業から中小企業、ベンチャー企業などさまざまです。資産家などの個人のクライアントを抱えることも多いです。

そのため、総合型の会計事務所スタイルになる傾向にあります。準大手〜中小税理士法人は、一般的な法人税務顧問業務のほか、以下のような業務内容が多いと考えられます。

  • IPO準備
  • M&A
  • 事業承継
  • 連結納税
  • 組織再編
  • 国際税務
  • 資産税業務(相続・贈与など)

また、準大手から中小税理士法人であれば、クライアントに寄り添った業務を行える可能性が高いです。

年収は年齢やスキルに応じて一定の給与が定められているケースが多く、企業ごとに大きな違いは見られません。税理士や科目合格者だけでなく、未経験者でも転職を目指せることも特徴の一つです。

独立系の税理士法人

独立系の税理士法人は、法人化したばかりなどの小規模税理士法人を指します。

クライアントは上場企業から非上場の中小企業やベンチャー企業、個人の資産家など幅広いことが特徴です。

顧客層が広いため、大手税理士法人のように一つのクライアントで同じ業務を長く担当するのではなく、税務会計スタッフとしてさまざまな業務に関われる可能性が高いです。

主な業務内容としては、中小規模の税理士法人と同様、M&Aや組織再編、事業承継、IPO支援などがあげられます。

独立系の税理士法人の場合、基本的な税務を身につけられるほか、たとえばM&Aに特化するなど、特定の分野のスキルを伸ばすことができます。

また、幅広い分野で税務実務を経験でき、金融機関や法律事務所などと連携することも多いです。そのため、将来的な独立を見据えて人脈形成を考えている方にはおすすめの転職先です。

2.会計事務所

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税理士の転職先として次にあげられるのが、会計事務所(または税理士事務所)です。

会計事務所とは1人の税理士が代表となり、会計士・税理士・スタッフなどと運営する個人事務所のことです。税理士法人のように会社形態ではないため、規模は比較的小さいといった特徴があります。

税理士のキャリアパスとして、会計事務所は大きく以下3つに分類できます。

  • 外資系特化型の会計事務所
  • 業種特化型の会計事務所
  • 個人会計事務所

ここからは、それぞれの会計事務所の特徴や主な業務内容、転職に関して詳しく解説していきます。

外資系特化型の会計事務所

外資系特化型の会計事務所は、税務に加えて語学力を活かせる転職先です。

主な業務には以下のものがあります。

  • アウトソーシングサービス
  • レポーティング
  • コンサルティング

外資系企業の記帳や月次・年次決算、給与計算や社会保険の手続きなど税務処理を代行して行う業務のほか、業績を本国に報告するレポーティングの業務などを行います。レポーティング業務は外資系企業の本国に対して資料を作成する必要があるため、高い語学力を求められます。

また、国際税務やM&Aなどのコンサルティング業務、および日本への進出や日本でのマーケティングをサポートするのも、外資系特化型事務所の仕事の一つです。

クライアント先は基本的に外資系企業のため、年収は比較的高くなると予想されます。将来的に外資系企業のCFOを目指したい方にはおすすめの転職先です。

ただし、外資系に特化した会計事務所は少なく、地方には外資系企業に特化した会計事務所は基本的にないと考えておきましょう。

業種特化型の会計事務所

業種特化型の会計事務所は、クライアントが特定の業種に特化している事務所です。

たとえば、「医療系特化型」の会計事務所が代表的な例としてあげられます。

医療系に特化した会計事務所は、個人開業医や歯科医師をはじめとした医療法人のサポートを主な業務としています。具体的には、開院にあたってのマーケティングや専門機器の導入提案、内装のコンサルティングなどです。

このように、業種特化型は特定の業種に対して高い専門性と付加価値の高いサービスを提供している会計事務所です。

総合型と比べて、対象となるクライアントは絞られるものの、税務・会計以外のコンサルティングまで請け負い、クライアントのニーズをより満たすことができるといった特徴があります。

業種特化型の会計事務所には、ほかにも飲食業や美容院、音楽業界に特化している事例があります。

ただし、経験できる業種が絞られるため、将来的なキャリアの選択肢が狭まるといった点がデメリットです。すでに明確なキャリアプランが立てられていて、興味・関心の強い分野で働くと決めている人には、業種特化型の会計事務所への転職がおすすめです。

個人会計事務所

個人会計事務所は会計事務所の中でも最も多く、地方で税務サービスを提供している傾向にあります。

個人会計事務所の主なクライアント先は、個人事業主や中小零細企業です。主な業務内容には、記帳代行や月次・年次決算、税務申告・年末調整などごく一般的なものがほとんどです。

税理士として基本的な業務をひととおり経験できるので、初心者税理士の転職先としては適していると言えるでしょう。

税理士の資格を持っていなくても、日経簿記2級〜3級の資格を取得している人であれば、採用してもらえる可能性は高いです。未経験から税理士転職を考えている人は、会計事務所に転職して税理士資格の取得を目指すのも選択肢の一つとしておすすめです。

将来的に独立も視野に入れているのであれば、個人会計事務所の中でも、事務所の規模や所長の経歴・経験・人脈をしっかり調査することが大切です。

規模が大きければ、より多くのクライアントと関係を持てるほか、所長の人的ネットワークが強ければ独立後もその関係値を活かすことができます。

3.一般企業

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税理士として一般企業に転職するのも選択肢の一つです。

小規模の企業は税務の仕事をアウトソースしている傾向にあるため、税理士として転職できる企業は中規模〜大規模の企業となります。

一般企業での業務内容には、主に以下のものがあげられます。

  • 月次・四半期・年次決算
  • 有価証券報告書の作成
  • 法人税務
  • 連結納税
  • 組織再編
  • 税務DD
  • 国際税務

など

一般企業への転職は、税理士法人や会計事務所への転職と比べて、高い専門性を求められることが特徴です。特に、30代以降で税理士として一般企業に就職する際は、専門知識や経験の有無が重要視されます。

また、一般事業会社は経理業務をアウトソースしていることが多いので、求人数はあまり多くありません。

そのため、税理士が一般企業へ転職するのであれば、税理士法人や会計事務所での経験・実績を積んだあとにするのが一般的と言えます。

4.コンサルティングファーム

コンサルティングファームとは、企業の課題を解決して業績アップを目指す企業です。

コンサルティングファームにはさまざまな種類があり、中でも税理士が転職できるのは、会計系または資産税系のコンサルティングファームとなります。

コンサルティングファームに転職した税理士の主な業務には以下のものがあります。

  • 創業支援
  • 経営計画策定
  • 資金繰りなど財務コンサルティング
  • IPO支援
  • M&A
  • 組織再編
  • 事業再生

など

企業の財務に関わるコンサルティングを全般的に行います。

税務や会計業務に加え、コンサルティング業務の両方の経験が積めるので、クライアントに付加価値を提供できる人材になれることが特徴です。年収も一般的な税務顧問を提供する税理士と比べて100〜200万円ほど高い傾向にあります。

一般企業と比べて需要や求人数も多いので、税理士の転職先としてぜひ検討したい選択肢の一つです。

ただし、税理士としての知識だけでなく、マーケティングや知識・経験も求められるので、税務のことだけ学んできた税理士は注意が必要です。

【年代別】税理士の転職傾向!転職先に求められる人材とは?

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転職の傾向は年代によって異なります。

ここからは、20代・30代・40代の3つの年代における転職傾向について詳しく解説していきます。

20代はポテンシャル採用されやすく転職が有利

20代の税理士の転職先として、会計事務所や税理士法人、一般企業の経理担当などがあげられます。

20代は30代・40代と比べてポテンシャル採用してもらえることがあり、特に会計事務所や税理士法人では、税理士を目指している人を採用してくれるケースがあります。

税理士の経験がなくても、1科目合格している場合は採用を優遇してもらえる可能性は高いです。一方で、一般企業の経理担当の場合、税理士の経験がなければ採用は難しいと考えられます。

現在税理士を目指して勉強中の人は、会計・財務に関する業務経験を積めるかどうかだけでなく、勉強時間を確保できるかどうかも転職のポイントです。また、転職先によって具体的な業務内容も異なるので、自身のキャリアプランをしっかりと考えた上で、最適な転職先を選びましょう。

30代は3年以上の実務経験と経歴が転職に影響する

30代で税理士転職する人のほとんどが、クライアントの規模を上げるなど業務バリエーションのアップが目的と考えられます。

30代の税理士転職となると、基本的に3年以上の実務経験を求められます。ポテンシャル採用は行われず、過去の経歴をもとに即戦力として活躍できるかどうかが評価の鍵です。

たとえば、どの程度の規模のクライアントを担当した経験があるか、決算を担当した期間は何年かなど具体的な経験を採用試験時に聞かれる可能性が多いです。

30代後半においては、税務や会計の知識と経験があることを前提とし、その上でマネジメントの経験も求められるようになります。

また、会計事務所や税理士法人のほかに、一般企業やコンサルティングファームに転職するのも選択肢の一つです。

ただし、一般企業では高い税務知識を求めるケースが多いので、転職は簡単ではありません。上場企業やグローバル企業への転職なら英語力も必要になります。

40代は専門性の高いスキルと経験が求められる

40代は30代よりも求められるスキルは高くなります。

会計事務所や税理士法人へ転職するのであれば、自分の強みを明確にして、正しくアピールすることが大切です。たとえば、国際税務の経験や上場企業の経理部門のマネージャー経験など、専門性の高いスキルは評価されやすいです。

相続対策や事業継承などのニーズは増加傾向にあるため、会計事務所や税理士法人などで資産税に関する経験が豊富な人は転職先の選択肢も広がります。

ただし、一般企業の経理財務部門への転職は40代では難しいでしょう。国際税務や移転価格税制といった専門性の高いスキルと経験のほか、語学力も求められることがほとんどです。

また、税理士としての経験が十数年あるのであれば、独立するのも選択肢の一つです。

税理士の平均年収は?給料は経験や年齢によって変わる

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ここまで、税理士の転職市場について詳しくお伝えしてきました。中には、税理士転職で年収が上がるかどうか気になっている人は多いかと思います。

2020年に発表された厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、税理士の平均年収はおよそ1,036万円※です。

※会計士と税理士を合わせた統計

(参照:令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1|政府統計の総合窓口 e-Stat

ただし、税理士の平均年収は年齢や税理士としての経験によって異なります。

税理士の転職サイト「マイナビ税理士」では、2015年に税理士会連合会がまとめた「第6回税理士実態調査報告書」を一部公開しており、税理士の平均年収を次のようにしています。

年齢 男女平均年収
全年齢の平均 892万円
20~24歳 479万円
25~29歳 733万円
30~34歳 772万円
35~39歳 933万円
40~44歳 932万円
45~49歳 1,106万円
50~54歳 1,135万円
55~59歳 759万円
60~64歳 985万円
65~69歳 491万円

また、マイナビ税理士の転職サービス登録者のデータによれば、2016年の1科目ごく各社の平均年収は370万円程度で、5科目合格者は640万円程度としています。

(参照:税理士の年収のすべて教えます|マイナビ税理士

男女別による税理士の年収の違い

2020年の厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、男女および年齢別における税理士の平均年収は以下の金額となっています。

年齢 男性平均年収 女性平均年収
全年齢の平均 1,030万円 744万円
20~24歳 364万円 364万円
25~29歳 577万円 404万円
30~34歳 984万円 707万円
35~39歳 1,036万円 931万円
40~44歳 1,201万円 929万円
45~49歳 1,177万円 862万円
50~54歳 913万円 658万円
55~59歳 960万円 592万円
60~64歳 419万円 411万円
65~69歳 983万円 250万円

※会計士と税理士を合わせた統計

(参照:令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号7|政府統計の総合窓口 e-Stat

また、令和元年に発表された国税庁の「民間給与実態統計調査結果」によれば、男女の平均年収は30〜34歳で約410万円、35〜39歳で約444万円です。

(参照:民間給与実態統計調査結果|国税庁

女性の税理士は男性に比べて平均年収がやや低い傾向にあるものの、年齢にしては比較的高い水準であることがわかります。

勤務先による税理士の年収の違い

マイナビ税理士のデータによれば、勤務先による税理士の年収の違いは以下のようになっています。

勤務先 平均年収
BIG4 約450万~600万円
一般事業会社 約400万〜550万円
コンサルティングファーム 約400万〜600万円
開業税理士 約744万円

上の表を見ると、開業税理士の平均年収がもっとも高い数値となっていますが、年収300万円以下が全体の31.4%と最も多い割合です。一方、年収1,000万~1億円を超える開業税理士の割合は全体の34.9%となっており、年収格差が大きいので注意が必要です。

そのことを踏まえると、税理士転職でBIG4に転職すれば、高水準の年収を安定的に得られると言えるでしょう。また、BIG4の中でも年齢や役職によって年収は大きく異なり、ディレクターになれば40代後半で年収1,500万円以上も目指せます。

(参照:税理士の年収のすべて教えます|マイナビ税理士

税理士の転職で年収アップは可能

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税理士の転職で年収アップは可能と言えます。

税理士の平均年収は全職種の平均よりも高い水準となっています。そのため、未経験からでも科目合格して税理士へ転職できれば年収アップは十分可能です。

また、税理士の年収は企業規模によって変わる傾向にあります。現在税理士として働いている人でも、より大規模な税理士法人に転職すれば年収アップが期待できます。

年収アップを目的として税理士の転職を考えているのであれば、しっかり転職市場の情報を集めて動向を確認しておきましょう。

税理士の転職は何歳まで?20代など若ければ有利

結論から言えば、税理士の転職は何歳までという基準はありません。

特に、20代であればポテンシャル採用も行われるため転職に有利です。経験が少ない人だけでなく、未経験者でも1科目合格者であれば転職は難しくないと言えます。

30代・40代、またはそれ以上の方でも税理士としての経験や実績があれば、転職に成功することは十分可能です。

ただし、30代・40代で未経験から税理士に転職するのは困難です。複数の科目に合格した上で、個人事務所など小規模の事業場で転職して経験を積む必要があります。

とはいえ、税理士は売り手市場にあるため、年収アップを目的とするなら税理士への転職はおすすめです。

まとめ

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税理士の転職先は大きく以下の4つです。

  • 税理士法人
  • 会計事務所
  • 一般企業
  • コンサルティングファーム

企業規模が大きければ年収が高くなる傾向にあるので、年収アップを目的として転職するのであれば、BIG4をはじめとした税理士法人がおすすめです。

税理士は売り手市場の状態です。20代はもちろん、30代・40代の方で、現在の仕事に不満があるのであれば、より好条件の転職先を目指して転職活動を行いましょう。

Back Office Magazine
Back Office Magazine編集部
記事の作成・監修者 Back Office Magazine編集部
hiqers株式会社

士業と管理部門の存在価値をアップデートするメディア「Back Office Magazine」の編集チームです。明日からすぐに生かせるノウハウや、現場で戦う人の声など、ここでしか読めない情報を提供。士業・管理部門の方が集う場を作るとともに、その存在価値を広く世に伝え続けます。

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