「人事の志望動機は他の職種と書き方が違うって本当?」
「志望動機の例文やNG例をあらかじめ知っておきたい」
このようにお考えではないでしょうか。
本記事では、これから人事職の選考に挑むという人に向け、
- 必ず知っておきたい人事の仕事内容
- 人事の志望動機を書く際のポイント
- 人事の志望動機の例文とNG例
などを紹介していきます。
志望動機を書く際のポイントとNG例を押さえておけば、書類選考の突破率は格段に上がるでしょう。
人事の志望動機を考える前に!人事の基本的な3つの仕事
企業が人事に求める仕事は下記3つの通りです。
- 新卒や中途の採用
- 社員の教育
- 社員の労働環境を整える
以下では、それぞれの仕事について詳しく解説していきます。
人事の仕事1.新卒や中途の採用
人事と聞いて、まず最初にイメージするのが新卒・中途の採用業務でしょう。
人事は新卒や中途だけではなく、派遣社員やアルバイトなど、各部署が必要とする人材を見極めて採用します。
採用業務では、リクナビやマイナビといった媒体へ求人情報を出稿したり、会社説明会を企画・実行したりすることも業務の一環です。そして出稿した求人票を通じて応募があれば、選考を行い面接を実施します。
選考を通じて採用する人材が決まれば、各種手続きを行い、入社前~入社後まで社員をサポートします。
人事の仕事2.社員の教育
人事は社員の教育も行います。
教育とは、たとえば
- 新卒研修
- スキルアップにつながる講習や講演会の準備
- 中途入社した社員が会社に馴染むためのサポート
- 現場の従業員にとって必要な資格を取得してもらうためのサポート
などが仕事内容に含まれます。
これらに加え、セミナーや講演会などの情報を従業員に共有して参加を呼びかけたり、教育システムを改善・導入したりすることも人事が行う仕事の一環です。
人事の仕事3.社員の労働環境を整える
人事は社員の労働環境を整えることも重要な仕事の一つです。
たとえば、
- 就業規則の作成
- 勤怠の管理や給与の計算
- 入社や退職に関する手続き
など多岐に渡ります。
その他にも、健康診断を実施したり年末調整の手続きを行ったりすることも労働環境を整えるために行う仕事です。
人事の志望動機に直結する3つのスキルとは?
「人事として仕事をしたい」という人なら持っておきたい3つのスキル・知識は下記の通りです。
- 労働に関する法律の知識
- 目標を立て、達成するスキル
- 臨機応変に対応するスキル
上記のスキルや知識を持っていれば、人事への転職も有利になるでしょう。
以下では、それぞれについて詳しく解説していきます。
人事の志望動機に生かせるスキル1.労働に関する法律の知識
労働に関する法律の知識を持っていると、人事として非常に重宝されます。労働に関する知識とは、労働基準法や労働安全衛生法などに関する知識です。
労働基準法は、賃金の支払いや労働時間など、労働条件の基準を定めたもの。労働安全衛生法とは、労働者が安全と健康を保ち、快適に仕事できる環境を形成できるようにと制定された法律です。
法的な専門知識を持つ人材はどの部署においても重宝されるため、転職の場面において非常に強い武器になります。
人事の志望動機に生かせるスキル2.目標を立て達成する力
目標を立てて達成するスキルも人事として重要とされるスキルの一つです。
企業は売上を拡大するために事業計画と予算組みを行います。その予算の中で目標を立て、達成できる人材は重宝されるのです。
たとえば、「採用のために用意された予算の中で目標とする採用人数を達成できた」というような経験は良いアピールになります。
人事としての経験がない人でも「目標を立てて達成した」という実務経験があれば積極的にアピールしましょう。
人事の志望動機に生かせるスキル3.臨機応変に対応する力
臨機応変に対応できるかどうかという点も、人事に求められるスキルの一つです。
たとえば、面接では
- 応募者から本音を引き出す
- 志望度を上げるために自社をアピールする
といった行動が求められます。
また会社が支給する給与や待遇が悪くなってしまった際は、社員の離職を防いだりすることもありますし、場合によっては退職勧告をしなければいけないこともあります。
人事の志望動機に書ける!人事に向く人の特徴3選
人事に向いている人にはいくつかの特徴があります。その特徴は下記の通り。
- 人とコミュニケーションをとるのが好き
- 目標達成能力に自信がある
- 人事以外の仕事にも精通している人
あなたはこれらの特徴に当てはまっているでしょうか。
それぞれの特徴について詳しく見てみましょう。
人事に向く人の特徴1.人とコミュニケーションをとるのが好き
「人とコミュニケーションをとるのが好きだ」という人は人事に向いています。
なぜなら人事は、他の部署よりも比較的多くの人と関わりを持つことで成り立つ仕事だからです。
たとえば、営業職の場合は基本的に顧客とコミュニケーションをとることが多くなります。一方の人事は、学生や転職希望者に加え、派遣元の担当者や自社の従業員など、さまざまな人とコミケーションをとらなければいけません。
そのため、「人と会話するのが好き」「初対面の人と会うとワクワクする」というような思考の持ち主は人事に向いているといえるのです。
人事に向く人の特徴2.目標達成能力に自信がある
目標達成能力に自信があるという人も人事に向いています。
人事は「面接官」としてのイメージが強いため、コミュニケーションが最も重要だと思われがちですが、実は目標達成能力もかなり重要視されます。
先ほども説明しました通り、人事は会社から「4月までに新卒を5名採用」といった目標を与えられることがあります。
どのような人物を採用するかによって今後の会社の明暗を分ける可能性もあるため、採用人数は非常に重要な数字目標です。目標が達成できなければ「人材が不足した状態で新年度を迎えなければいけない」という事態になってしまうこともあるでしょう。
このように人事はたくさんの人と関わりつつも、会社から与えられた目標を達成し続けなければいけない仕事です。ですから、「目標を達成し続けることにあまり自信がない」という人は、会社からのプレッシャーに耐えきれない可能性があります。
人事に向く人の特徴3.人事以外の仕事にも精通している人
人事以外の仕事に精通しているかどうかも重要なポイントです。
たとえば、募集条件を作成したり、選考スケジュールを作成したり際には、「従業員」「上層部」などの立場に立って考える必要があります。
それぞれの立場をよく理解しておかないと、お互いの需要に合った募集条件や選考スケジュールを作成できません。
人事以外の仕事に精通していれば多角的な思考ができるようになるため、任される仕事もスムーズに進みます。
人事の志望動機を書く際に重要な3つのポイント
ここまで読んでいただくと、「自分の何をアピールすれば良いのか」が少し見えてきたと思います。では次に、志望動機を書く際に需要となるポイントについて見ていきましょう。
- 応募企業が求める人材を把握してアピールする
- ただ「コミュニケーション能力に自信があります」と書かない
- 新卒、中途採用など以外の目標をアピールする
以下では、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
人事の志望動機を書くポイント1.応募企業が求める人材を把握してアピールする
先ほども紹介しました通り、人事の仕事は多岐に渡ります。そのため、志望動機を作成する際は、応募企業が求める人材を把握することが大切です。
ひとえに人事といっても「企業によって求めている人事は違う」ということを覚えておきましょう。
たとえば、募集要項に「人材教育に力を入れています」というようなことが書かれていれば、その企業は教育の経験を持つ人材を求めている可能性が高いです。
そのため、そういった企業の志望動機には「これまでどのような人材教育に関わってきたか」を伝えるのが効果的になります。人事としての経験が無い人は、アルバイトリーダーや、社内でのマネジメント経験などを中心にアピールしましょう。
人事の志望動機を書くポイント2.ただ「コミュニケーション能力に自信があります」と書かない
志望動機にただ「コミュニケーション能力に自信があります」と書かないようにしましょう。
人事へ応募するのであれば、「コミュニケーション能力があって当たり前だ」という認識を持っておく必要があります。そのため、単にコミュニケーション能力があると記載するのではなく、具体性を持たせてアピールすることが大切です。
たとえば、「初めて会った人とコミュニケーションをとることが得意で、すぐに仲良くなることができます」「説明が分かりやすいと言われることが多く、説明会やプロジェクトリーダーなどを任せれてきました」というようにアピールしましょう。
内容が具体的なほど良いアピールにつながりやすいです。
人事の志望動機を書くポイント3.新卒、中途採用以外の目標もアピールする
採用業務以外の目標をアピールすることも大切です。
「採用業務を任される人材になることが目標でした」「たくさんの人と関わってきた経験があるため人を見る目に自信があります」といったアピールばかりをしてしまうと、「人事をやることが目的化しているな」と捉えられる可能性があります。
また、中小企業やベンチャー企業の場合は予算の関係上「人事以外の仕事も積極的にしてほしい」と考えているケースも多いです。
そのため、「人事だけではなく、会社の売上を最大化できるように取り組んでいきたいと思っています」というように、人事以外の目標を一言添えておくだけで効果的なアピールにつながります。
人事の志望動機を例文で紹介!
以下では、人事の志望動機の例文を
- 人事としての経験が無いケース
- 志望企業の業界・業務が未経験(人事経験あり)のケース
の2つに分けて紹介していきますので、該当するケースの志望動機を参考にしてみてください。
人事の志望動機の例文1.人事としての経験が無いケース
前職では、転職エージェントとして自社が抱える人材を派遣先に紹介していました。私はこの転職エージェントとしての経験を人材教育や採用などの業務に活かしていきたいと考え、貴社に応募しました。
前職の主な仕事は、転職希望者からヒアリングを行い、ヒアリングの内容に見合った企業を選んで紹介することでした。転職希望者によっては面談の練習を実施したり、アドバイスしたりすることもありました。企業とコミュニケーションをとることもあり、人材が希望するポジションや年収の交渉を行うことも度々ありました。
このような一連の業務経験から、人材を見極める目と対外的なコミュニケーションスキルを身に付けることができました。今後は貴社が掲げる理念や採用方針に対する理解を深め、企業の将来を担えるような人材を発掘していきたいと考えております。
人事の志望動機の例文2.志望企業の業界・業務が未経験(人事経験あり)のケース
私は金融業界で人事職を6年間勤めました。そしてこの度、かねてから興味を持っていたIT業界への転職を決意した次第です。
前職で勤めていた人事職では、主に新卒のリクルーティング活動を行っていました。これから会社を引っ張っていくんだと意気込む人材を採用する業務にはとてもやりがいを感じていました。
しかし、採用するだけではなく、人材教育に携わることでより会社に貢献できる人材になりたいと思い、貴社に応募しました。これからは採用から教育までを一貫して行える人事のスペシャリストになりたいと考えております。まだまだ人材教育の経験は少ないですが、貴社のノウハウと自身のノウハウを合わせ、会社の目標を達成し続ける採用担当者になりたい所存です。
人事の志望動機のNG例
以下では、人事職の志望動機を書く際にやってはいけないNG例を3つ紹介していきます。
「なぜNGなのか」という点も解説しますので、これから志望動機を書く人、もしくはすでに書いている人は見比べて参考にしてみてください。
人事の志望動機のNG例1.企業に貢献できる内容や志望の動機が曖昧
今回、貴社の人事職を志望した理由は貴社の企業理念に共感したからです。私は、企業がどのような人材を採用し、構成するかによって業績が大きく変わると考えております。そこで私が人事としてできることは、企業に合った人材採用や従業員が気持ちよく働ける職場づくりだと思っております。
私は学生時代サッカー部の部長としてマネジメントを経験してきました。自分が作った練習や試合の作戦などを実施し、試合に勝てた時などはとてもやりがいを感じました。
このような経験から、人材を育成することの面白さや、自己成長の楽しさを知るができました。貴社では従業員が気持ちよく働ける環境づくりと、企業にマッチした人材の採用を行っていきたいと考えております。
まずこの志望動機は「企業理念のどの部分に共感したのか」が記載されていないため、企業側からすると本当に興味を持っているのかどうかが分かりにくいです。また、過去の経験とこれから貢献していきたいと考えていることに一貫性がないため、文章に説得力がありません。
このような志望動機にならないようにするためには、過去と未来に一貫性を持たせることが大切です。加えて、エピソードに具体性を持たせることも重要になります。
人事の志望動機のNG例2.入社後どんな事に取り組みたいのかが書かれていない
私が今回貴社の人事職を志望した理由は、貴社が掲げる「人材こそが会社と未来を作る」という企業理念に深く感心したからです。私は企業が業績を拡大していく上で、人事職は非常に重要なポジションであると考えています。
働き方改革が叫ばれる昨今でも、いまだブラック企業や労働過多などは残っており、ネガティブなニュースが連日報道されています。私はそういった問題に向き合い、従業員が働く環境を少しでも良くしたいと考え、貴社に応募した所存です。
従業員が働きやすい環境を作るためには、採用する際にミスマッチを起こさないようにすることや、人事制度を定期的に見直すことが重要であると考えています。貴社で働く機会をいただけましたら、仕事の一つ一つに責任感を持ち、従業員にとって良い環境づくりをして参ります。
上記の志望動機は、応募者の経験とスキルについて触れられていないため、企業側から見ると評価するポイントがどこにあるか分かりません。人事の重要性を説くことばかりに意識が向けられており、肝心となる自分のアピールができていないのです。
また、「なぜ人事をしようと思ったのか」「なぜ人事でなければいけないのか」などを伝えるためのエピソードがないため、熱意も伝わりづらくなっています。
このような志望動機にならないようにするためには、「自分自身のアピール」「エピソード」「なぜ人事職なのか」など、伝えるべき項目をバランスよく記載することが大切です。
人事の志望動機は熱意が伝わるように書こう
志望動機を書く際は、採用担当者に熱意が伝わるかどうかを意識しましょう。
熱意を伝えるためには「具体的なエピソード」「今後どのように貢献していきたいか」を重点的に考えて記入する必要があります。つまり、ただの自己紹介になってしまわないように心掛けることが大切なのです。
採用担当者の立場に立ち、「自分が採用する側ならこの志望動機を読んでどう思うだろう」というところまで思考を張り巡らせてみてください。そうすることで、自分にとってベストな志望動機がどのようなものであるかが見えてくるはずです。