「履歴書や職務経歴書の詐称ってどうやってバレるの?」
「詐称がばれたらどんな処分を受けるの?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、「履歴書や職務経歴書を詐称したらどうなるんだろう」とお考えの人に向け、以下を解説しています。
- 経歴詐称が軽犯罪法に触れる可能性について
- 経歴詐称がバレる5つのタイミングについて
- 経歴詐称の範囲について
履歴書や職務経歴書を詐称することは、さまざまなリスクが伴います。
「どこまでが経歴詐称になるんだろう?」と不安がある人は本記事をチェックし、クリーンな転職活動を行いましょう。
職務経歴書の詐称自体が罪に問われる可能性は低いが・・
職務経歴書の詐称がバレると、軽犯罪法第一条15項に触れる可能性があります。
罰則規定は「拘留」で、1,000円以上、1万円未満の罰金を科せられるというものです。
しかし、 経歴詐称のみで罰を科せられる可能性はほとんどありません。ただ、大学や大学院に行ったという学歴がないのにも関わらず「学歴があります」と偽った場合は罰せられる可能性が少し高くなります。
したがって、「過去の営業実績を偽った」「転職回数を実際よりも少なくして履歴書に書いた」という程度で罰則を科せられる可能性はかなり低いです。
経歴詐称が「内定取消」「解雇」になる可能性もある
先ほど、履歴書や職務経歴書を詐称することで犯罪になる可能性は低いと述べました。ですが、企業にバレることで内定の取り消しや解雇になる可能性は高いです。
大したことのない経歴詐称であれば、バレたとしても注意されるくらいで済みますが、内容によってはバレた時点で解雇になることもあります。そのあたりの裁量は企業によって異なるでしょう。
ただ、重大な経歴詐称であったり、経歴詐称したことで会社に被害を与えたりした場合は、懲戒解雇の処分を受ける可能性も少なからずあります。
懲戒解雇とは、事業者がサラリーマンに与えるペナルティとしては最も大きい処罰です。 一般的な解雇であれば、30日前に予告する必要がありますが懲戒解雇の場合、即日に解雇することができます。加えて、退職金が支払われなくなる可能性もあるのです。
また、たとえ懲戒解雇などの処分を受けなかったとしても、社会的な信頼を失いますから、転職後の苦労が増えるのは言うまでもありません。
派遣・人材紹介会社から損害賠償を請求されるケースも
履歴書や職務経歴書を詐称したことで、派遣会社や人材紹介会社から損害賠償を請求されたという事例もあります。
派遣会社等を経由して転職し、経歴詐称がバレた場合は、働いていた企業から紹介元の企業にクレームがいきます。
そのクレームがきっかけで紹介元の企業と働いていた企業の契約が切れると、当然ながら紹介元の企業は損害を被ることになりますから、場合によっては経歴詐称した人に損害賠償を請求することがあるのです。
したがって、派遣会社や人材会社を経由して転職する際は、特に注意して履歴書を記入すべきだといえるでしょう。
履歴書や職務経歴書を詐称して後悔する3つのパターン
履歴書や職務経歴書を詐称してバレなかったとしても、あとになって後悔することは多々あります。
後悔することが多いパターンとして考えられるのは下記の通りです。
- 入社後に罪悪感やプレッシャーで押しつぶされる
- 業務に自分のスキルが追い付かない
- 企業との相性を見誤る
それぞれのパターンについて詳しく見ていきましょう。
履歴・職歴書詐称の後悔1.入社後に罪悪感やプレッシャーで押しつぶされる
経歴を詐称したことで、罪悪感や、「バレたらどうしよう」というプレッシャーに押しつぶされる可能性があります。
加えて、会社に嘘をついて仕事をしていることになるため、自分であげた成果も素直に喜べなくなるということもあるでしょう。さらには、「いつ会社や同僚にバレてもおかしくない」という焦りから、仕事に集中できないことも考えられます。
また、1度経歴を詐称してしまうと、これから数年に渡って嘘をつき続けることになります。嘘が膨らむほどプレッシャーも大きくなり、仕事のストレスも溜まりやすくなるでしょう。
履歴・職歴書詐称の後悔2.業務に自分のスキルが追い付かない
経歴詐称をしてレベルの高い会社に入った場合、業務に自分のスキルが追いつかないということも考えられます。
特に、中途採用は即戦力になることを見込まれているため、会社からのプレッシャーも大きくなるでしょう。そんなプレッシャーの中で仕事の成果が出せないとなると、精神的な負担もより大きくなってしまいます。
また、仕事のレベルが自分に見合わないほど高くなることもありますから、達成できなかった際には大きな挫折を味わうかもしれません。
履歴・職歴書詐称の後悔3.企業との相性を見誤る
経歴詐称をすると、企業との相性を見誤ってしまう可能性もあります。なぜなら、面接は本来、企業と求職者のミスマッチを防ぐために設けられている場であるからです。
当然、経歴詐称をしていると本来の自分と企業の間にミスマッチが生じますから、働きはじめた際の苦労も大きくなります。
履歴書や職務経歴書の詐称がバレる5つのパターン
では、履歴書や職務経歴書の詐称は、どのようなタイミングで企業にバレるのでしょうか。
詐称していたことが企業に発覚するタイミングは下記の通りです。
- 源泉徴収票・雇用保険などと矛盾している
- 面接中の違和感で気付く
- 年金手帳の加入履歴と職務経歴書が矛盾している
- 企業が行うリファレンスチェック
- SNSや同業者からの発覚
以下では、それぞれのタイミングについて詳しく解説していきます。
履歴・職歴書詐称がバレるケース1.源泉徴収票・雇用保険などと矛盾している
最も多いのが、源泉徴収票や雇用保険の履歴と本人の言っていることが矛盾してバレるというケースです。
具体的には、入社した際に会社側から提出を求められる「雇用保険被保険者証」に記載されている「前職の退職日」「会社名」などと本人の発言が矛盾してしまうことで発覚します。
また、会社が行う年末調整には、源泉徴収票が必要になります。源泉徴収票には前職の情報が記載されていますから、詐称の発覚につながる可能性がきわめて大きくなります。
履歴・職歴書詐称がバレるケース2.面接中の違和感で気付く
面接中に違和感を感じた面接官に指摘され、詐称が発覚するというケースも多いです。
面接では、履歴書や職務経歴書に書かれていることを深く掘り下げることがあります。その際に受けた質問に回答できないと、面接官は違和感を感じるのです。
特に、担当していた部署の仕事やスキルなどについて聞かれた際、曖昧な回答をしてしまうと疑われる可能性は高まります。
面接官は、1日に何度も求職者と対話することもあるため、嘘や違和感などはすぐに見抜きます。 また、その場で直接的に問い詰められなかったとしても、面接後に調べられてバレるケースも考えられるでしょう。
履歴・職歴書詐称がバレるケース3.年金手帳の加入履歴と職務経歴書が矛盾している
年金手帳の加入履歴と職務経歴書が矛盾していることでバレるケースもあります。
年金手帳とは、入社する際に提出する書類の一つです。
年金手帳には過去に加入した日(入社日)が記載されているため、職務経歴書と違った日にちを書いているとすぐにバレてしまいます。
まれに履歴を企業に見られないようにと年金手帳を再発行する人もいますが、違和感のある行為であるため、発覚につながる可能性がより高くなることに留意しておきましょう。
履歴・職歴書詐称がバレるケース4.企業が行うリファレンスチェック
企業が行うリファレンスチェックで履歴書や職務経歴書の詐称発覚につながる可能性もあります。
リファレンスチェックとは、応募者を詳しく知っている前職の上司や同僚などから直接的に話を聞き、業務態度や人柄などをリサーチすることです。 なお、リファレンスチェックは応募者の人柄を重点的に調べるという目的があるため、求職者が前職で起こしたトラブルの有無などを調べる前職調査とは少し異なります。
いずれにしても、前職の同僚や上司から話を聞くことになるため、経歴詐称を行っているとすぐにバレるでしょう。
履歴・職歴書詐称がバレるケース5.SNSや同業者からの発覚
最近では、SNSがきっかけでバレるというケースもあります。
前述したリファレンスチェックや前職調査をする企業は少数派ですが、SNSを確認する企業は多いです。
また、人材業界のような横のつながりが広い業界は、共通の知人から詐称が発覚するというケースもあります。
コンプライアンスに厳しくなっている企業が増えているため、SNSを利用している人はアカウントを客観的に見直しておくとよいでしょう。
履歴・職歴書の詐称の範囲とは?【項目別】
履歴書や経歴書には、学歴や資格などの欄がありますが、どの程度の嘘が経歴詐称になるかをご存知でしょうか?
以下では、履歴書や職務経歴書の項目ごとに「経歴詐称になり得るレベルと範囲」について紹介していきます。
【学歴】
- 最終学歴や出身大学を偽る
- 留年したことを隠すために入学と卒業の時期をズラす
【在職期間・転職回数】
- 早期退職を隠す
- 職歴の一部を隠す
- 転職回数を減らす
- 2社であるはずの在職期間を一社として記載する
【前職の年収】
- 前職の年収を水増しする
- 前職の年収を四捨五入して多いように見せる
【所有する資格】
- 所有していない資格を記載する
- TOEICの点数を高めに記入する
- 2級の資格を1級と書く
【前職の業務内容・職位】
- 経験していない業務を「経験アリ」と書く
- マネジメント経験がないにも関わらず「経験アリ」と書く
【前職の雇用形態】
- 派遣社員もしくは契約社員であるのにも関わらず正社員と書く
- 正社員で早期退職したことを隠すために3ヶ月間の契約社員であったと偽る
在職期間・前職の業務に関する情報などは見方によって変わる場合もあるため、嘘を書いても経歴詐称と捉えられる可能性は低いです。しかし、あらかさまな嘘は企業の心証を悪くするだけでなく、自分の立場を悪化させることにもつながるので注意しておきましょう。
経歴詐称がバレても簡単に解雇されない理由とは
実のところ、経歴詐称がバレても簡単に解雇される可能性は低くなっています。
なぜなら、企業が従業員に解雇を言い渡すためには、就業規則に明確な規定があることが前提であるからです。
もう少し具体的に言いますと、企業が経歴詐称の発覚により解雇をするためには、就業規則にて「経歴詐称が発覚すると懲戒解雇処分にする」という旨の規定をしている必要があるのです。
たとえ経営者や役員であっても、就業規則に規定がない場合は解雇を言い渡すことができません。
さらには、経歴詐称を行った従業員に弁明する時間と機会を与える必要もありますし、解雇が妥当であるという「社会的相当性」「客観的合理性」も求められます。
企業が解雇できないケースもある
企業側が経歴詐称だと思っても、詐称した従業員を解雇できないケースがあります。
「企業が従業員を解雇できないケース」とは下記のようなケースを指します。
- 会社の業務と関連性の低い資格について詐称を行っていた場合
- 採用に際してそもそも企業側が学歴や経歴を重視していない場合
- 経歴詐称を行っていたが長期間にわたって問題なく業務をこなしていた場合
- 面接を行った際に面接官が求職者の経歴や資格などについて確認をしていなかった場合
これらに当てはまる場合、従業員を解雇できない可能性が極めて高いです。
とはいえ、内容によっては解雇を言い渡される可能性もあります。たとえば、上述の「長期にわたって問題なく業務をこなしている場合」であっても、経歴詐称を行ったことが原因で会社側に大きな損害を与えた場合は懲戒解雇を言い渡される可能性があります。
履歴書や職務経歴書の詐称は百害あって一利なし
経歴詐称は、社会的な制裁を受けるリスクがあるうえに、バレなかったとしても結果的に自分自身を苦しめることになるのです。
また、一度経歴詐称をしてしまうと、その情報を次の転職先に共有される可能性もあります。極端な話、一度ついてしまった嘘を生涯にわたって貫き通さなければいけないという状況を生み出してしまう可能性もあるのです。
ですから、たとえ軽微な内容の詐称であっても控えておくべきだといえます。
経歴詐称をしてでも入社したいという会社があるのであれば、順当なキャリアアップを重ね、転職するタイミングを常に見計らっておきましょう。
採用担当者の目に留まる履歴書や職務経歴書の作成のポイントについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。