経理・税務

管理部門でおすすめの資格の選び方とは?年収アップに効く資格・検定11選!

管理部門でおすすめの資格の選び方とは?年収アップに効く資格・検定11選!

管理部門の業務は広範囲にわたるため、それに関連する資格は公的なものから民間資格まで数多く存在します。「とりあえず取得しておいたほうが良さそう」というものに目を奪われると、何のために取ったのかよくわからない資格を選んでしまいます。資格取得は先に目的をはっきりさせてから選ぶことが大切です。この記事では管理部門で失敗しない資格の選び方とおすすめの資格や検定を解説します。

管理部門でおすすめの資格の選び方

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資格は、「今の自分に役立つ資格」と「将来の自分に役立つ資格」に分けることができます。今の自分に役立つ資格とは、管理部門において自身が担当している業務のスキルを上げることができる資格です。自身が直接担当している業務に合った実用的な資格を選ぶことがポイントになります。

これに対し、将来の自分に役立つ資格とは、自分が目指す道の助けとなる資格です。「管理部門でもっと昇進したい」「待遇の良い別の企業の管理部門で勤務したい」「管理部門で得た知識と経験を活かして独立したい」など、目指す道は人によって違います。この場合は、知名度の高い資格を選ぶこと、そして難易度の高い資格で自身の価値を高められるものを選ぶことがポイントです。

どの資格を取得しようか迷ったときは、まず資格取得の目的が今のためか将来のためかをはっきりさせてから選ぶようにしましょう。

ところで資格の話になると、「そんな資格取っても意味ないよ」と言い始める人が出てきます。しかしこれは今のための資格か将来のための資格か、将来であれば本人がどのようにキャリアを形成したいのかをはっきりさせてから議論しなければ意味がありません。一方的なアドバイスはスルーしましょう。

管理部門(法務)におすすめの資格や検定

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企業は利益を追求しなければならない一方で、社会的責任やコンプライアンスが求められます。

管理部門の法務担当は、企業を取り巻くさまざまな変化に対応できるよう、法律の知識をブラッシュアップし続け、それを業務に応用できる能力が不可欠です。

実務に役立つのは2級からと言われ、企業の法務担当の求人でも2級以上を応募条件とする企業が多いです。スキルアップ・キャリアアップの両面で挑戦する価値のある資格といえます。

【管理部門】法務におすすめの資格:行政書士

行政書士は、憲法、行政法、民法、商法や会社法といった主要な法律知識を広く身につけることができる資格です。士業系の国家資格の中では取得しやすく、登録すれば行政書士法によって官公署に提出する書類の作成やその書類作成について相手の相談に応じることも認められます。

【管理部門】法務におすすめの資格:司法書士

行政書士よりも難関とされる国家資格です。出題範囲は、民法、商法や会社法、不動産登記法、商業登記法、民事訴訟法など全部で11科目と多いですが、取得すれば高度な法律知識が身についていることを証明することができます。

また、企業の法務担当が司法書士資格を取得することで、会社の業務で必要になる登記を任される場合もあります。もちろん司法書士として独立も目指せる資格です。

会社の業務に関する法律が学べる資格

契約や取引に関する法務は民法や商法が基礎になりますが、業種によっては専用の法律、いわゆる「業法」であったり、特定の商品やサービスに関する規制法があったりします。

これは会社として守らなければならない法律ですので、企業の法務担当も身につけておかなければならない知識です。もし学習に適した資格があるのなら早期に取得することをおすすめします。

たとえば、不動産販売会社なら宅建業法の知識を身につけられる宅地建物取引士の資格、音楽や書籍、Webサイトなどコンテンツを制作する会社なら著作権法の知識を身につけられるビジネス著作権検定や、難関ですが弁理士の資格などがよいでしょう。自社の商品やサービスに関するトラブル時の対応に活かすことができますし、その企業での昇進にも役立てることができます。

管理部門(経理)におすすめの資格

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経理は定型業務が多く、実務経験が重要視される仕事です。しかし、経験者の意見に盲目的に従うと、誤った処理が踏襲されてしまうという落とし穴もあります。なぜこの処理になるのかを会計基準や関係法令に照らして自分で判断できる知識と、それを説明できる能力が求められます。

【管理部門】経理におすすめの資格:FASS検定

日本CFO協会による、経理・財務担当者のスキルアップのための試験です。経済産業省の委託を受けて取り組んでいる「経理・財務サービス・スキルスタンダード」の一環として実施されています。

試験は合否ではなくスコア制で、出題範囲は資産・決算・税務・資金の4つの分野から100問(択一式)で出題されます。現在は上記の4分野に加え、2021年4月から本格的に導入予定の「収益認識に関する会計基準」に関する20問をオプションで受験できます。

なお日本CFO協会によると、2020年9月末の受験者数は累計64,550人で、受験者の職種は89%が経理・財務、属する企業規模は1,000人以上が59%(うち22%が1万人以上)、経験年数は5年未満が52%、5年以上10年未満が20%とのことです。

このデータからすると、大手企業の若手から中堅のスキルアップに役立てられていると言えそうです。

【管理部門】経理におすすめの資格:日商簿記検定

商工会議所が実施する知名度抜群の検定です。会計基準や会社法の知識を身に着けながら計算力も上がるので、スキルアップと将来のキャリア形成の両面で役立ちます。1級~3級・初級の4つがあり、実務レベルとされるのは2級以上といわれています。

中でも1級は難関です。税理士試験の受験資格を得るためのルートの1つでもあります。

【管理部門】経理におすすめの資格:給与計算実務能力検定試験

給与計算担当者のための実用的な検定です。はじめて給与計算を担当するようになったとき、給与計算について適切に指導してくれる人がいないとき、関係法令の理解に漏れがないか体系的に学習したいときなどに活用するとよいでしょう。

【管理部門】経理におすすめの資格:税理士試験(簿記論・財務諸表論)

日商簿記1級を目指すのなら、税理士試験の簿記論と財務諸表論の2科目の取得も検討するとよいでしょう。理由は、出題範囲が似ていること、税理士試験は科目ごとに合否判定が行われ、科目合格は生涯有効であること等です。さらに公認会計士の財務会計論(短答式試験の1つ)の免除対象にもなります。

ただし科目合格で一般企業から評価されることはないと考えておいたほうが良いです。あくまで士業への転職や独立を視野に入れている方の選択肢になります。

【管理部門】経理におすすめの資格:公認会計士

企業会計と監査のエキスパートで、医師・弁護士と並ぶ三大国家資格です。短答式試験(4科目)と論文試験(5科目)の2つを突破する必要があります。

試験範囲が非常に広く、税務や会計以外の科目の比重も高いため、実務のために取得するにはハードルの高い資格です。目先のスキルアップには向きませんが、大企業の経理に就きたい場合は有利に働く資格といえます。

経理の資格について詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。

経理の資格12選|経理の転職・即戦力・キャリアアップを実現する!

管理部門(人事)におすすめの資格

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人事の主な業務は労務管理と人材育成です。労務管理の部分は定型業務も多いですが、人材育成には正解がなく、新しい企画の発案が求められる場面もあります。

短期間では評価されにくい仕事であるからこそ、人事に関する資格勉強を通じ、会社と従業員両方の立場を考えられるバランサーとして、自分の能力を高めていく姿勢が求められます。

【管理部門】人事におすすめの資格:キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング技能士

キャリア形成支援のアドバイスをする専門家のことです。「キャリアコンサルタント試験」(国家資格)と、さらにレベルアップするための「キャリアコンサルティング技能試験」(1級・2級)があります。

採用担当者として説明会で話をしたり、従業員からキャリアの悩みについてアドバイスを求められたりしたとき、自分の経験だけでは難しい部分を知識で補うことができるでしょう。

【管理部門】人事におすすめの資格:衛生管理者免許

労働者の健康障害を防止するため、常時50人以上の労働者を使用する会社は、労働衛生の知識をもつ「衛生管理者」を選任しなければなりません。衛生管理者には、第一種免許と第二種免許があり、業種に応じて必要な資格が変わります。詳しくはこちらをご覧ください。

厚生労働省HP:「よくある質問 衛生管理者について教えて下さい

【管理部門】人事におすすめの資格:社会保険労務士

社会保険と労働保険の国家資格です。労務や年金に関する法律知識を身につけることができますが、出題範囲が広く、会社の実務にあまり必要のない法律も学ぶ必要があります。

また、社会保険や労働法関係の事務は社会保険労務士ほど深い知識がなくてもできるものが多いため、せっかく資格を取っても、プレイヤーとしての間はそれを活かせる機会がなくがっかりするかも知れません。

管理部門で昇進したい場合や、人事での経験を活かして独立開業したい場合の選択肢と考えるとよいでしょう。人事・労務について詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。

人事・労務
「人事・労務」の記事一覧です。

管理部門でおすすめの資格は多種多様にある!

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ここまでのとおり、管理部門の資格は多様です。ほかにも役立つ資格はありますので、何のために取得するかを考えながら選びましょう。

なお資格取得のために厚生労働大臣の指定する教育訓練にあたる講座を受ける場合、一定の要件を満たす人は「教育訓練給付金」を受け取ることができます。申請期限があるので注意が必要です。

厚生労働省ホームページ:教育訓練給付制度

また、その資格取得が会社の業務に直接必要なものと会社が証明する場合は、資格取得費の一部が所得税の「特定支出控除」の対象になる制度もあります。(確定申告が必要)

その年の特定支出控除の合計が給与所得控除額の2分の1を超える必要があるため、受けられるケースは稀ですが、覚えておくとよいでしょう。

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1級FP技能士石田
記事の作成・監修者 石田
1級FP技能士

会計事務所、上場企業の経理職を経てフリーランスに転身。現在はライターとして、主に個人の税理士事務所や税理士法人のホームページ上のコンテンツ制作を実施。「会計や税務の話は面白くない」という方が、最後まで楽しく読める記事を書けるよう日々精進しています。

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