「履歴書に転職理由を書く時の注意点って何?」
「退職理由って定型文だけで大丈夫なのかな?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、これから転職活動を行う人に向け、以下を紹介していきます。
- 履歴書に退職理由を書く際の注意点と例文
- 退職理由によって異なる文章の書き方
- 志望動機欄や自己PR欄に退職理由を書く際のポイント
本記事を読むことで、履歴書での退職理由の書き方を網羅することが可能です。
面接官に良い印象を与えられる退職理由を書き、次回の面接へとつなげていきましょう。
履歴書に書く退職理由は定型文でOK
履歴書に書く退職理由は、定型文を利用するだけでOKです。
なぜなら、退職理由を短い文章にまとめてしまうと、採用担当者に誤解されてしまう可能性があるからです。
定型文とは、「一身上の都合により」「契約期間満了により」といったような短い文を指します。
ひとまず定型文を書いておき、面接で詳しく説明するという流れが一般的だと思っておきましょう。
ただ、どのような定型文を使用するのかは、退職理由によって異なります。
退職理由にあった定型文については、以下で詳しく解説しますのでぜひ参考にしてみてください。
【理由別】履歴書で退職理由を伝える際の定型文
履歴書で退職理由を伝える際に使用する定型文は下記の通りです。
【退職理由の定型文】
- 自己都合退職は「一身上の都合により」と書く
- 契約満了での退職は「契約期間満了につき」と書く
- 会社都合での退職は「会社都合により」と書く
- 結婚を機に退職した人は「結婚に伴い退職」と書く
- 出産を機に退職した人は「出産に伴い退職」と書く
以下では、それぞれの定型文が持つ意味や書き方について詳しく解説していきます。
履歴書の書き方:自己都合退職は「一身上の都合により」と書く
自己都合退職の場合は、「一身上の都合により」と記入します。
自己都合退職にあてはまるのは下記のパターンです。
【自己都合にあたる場合】
- 引っ越しをするため
- 転職や起業をするため
- 懲戒解雇を受けたため
- 資格試験の勉強をするため
- 大学院への進学や留学のため
定型文を記入する際は、以下の例文を参考にしてみてください。
2019年4月 株式会社○○ 入社
2020年2月 一身上の都合により退職
記入の際は、自己都合退職と会社都合退職を混同しないように気をつけましょう。
次に会社都合退職で使用する定型文について解説していきます。
履歴書の書き方:会社都合での退職は「会社都合により」と書く
会社都合での退職は「会社都合により退職」と書きます。
会社都合に当てはまるパターンは下記の通りです。
【会社都合にあたる場合】
- 会社の事業が廃止したため
- 会社で大きな雇用変動があったため
- 会社が倒産または破産などをしたため
- 会社から直接的に退職の推奨を受けたため
なお、「会社が経営不振のため人員削減を行った」という理由でも「会社都合での退職」になります。
ですが、「今のままだと会社が倒産しそう」「経営が傾いている」といった憶測での退職は、「自己都合退職」とみなされますので注意してください。
「会社都合により退職」と書く際の例文は下記の通りです。
2020年4月 株式会社○○ 入社
2021年2月 会社都合により退職
履歴書の書き方:契約満了での退職は「契約期間満了につき」と書く
契約社員や派遣社員など、あからじめ「契約は、○年○月○日までとする」と期間が決まっていた人は、「契約満了につき退職」と書きます。
また、契約延長の話を断った場合でも、契約満了日を迎えて退職であれば「契約期間満了につき」という記載でOKです。
ただし、あらかじめ定めていた契約期間より前に退職した場合は、自己都合での退職になるため、「一身上の都合により退職」と書きましょう。
「契約満了につき退職」と書く際の例文は下記の通りです。
2020年4月 株式会社○○ 入社
2021年7月 契約期間満了につき退職
履歴書の書き方:結婚を機に退職した人は「結婚に伴い退職」と書く
結婚を機に退職した人は「結婚に伴い退職」と書きます。
この書き方をする際、「結婚のために退職したというのは面接官にマイナス印象を与えてしまうのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、結婚を機にした退職をネガティブに捉える面接官は少ないので安心してください。
「結婚に伴い退職」と書く際の例文は下記の通りです。
2020年4月 株式会社○○ 入社
2021年2月 結婚に伴い退職
履歴書の書き方:出産を機に退職した人は「出産に伴い退職」と書く
出産を機に退職した人は、「出産に伴い退職」と書きます。
出産による退職も結婚による退職と同様に、基本的にはポジティブに捉えられることが多いです。
「出産に伴い退職」と書く際は、下記の例文を参考にしてみてください。
2020年4月 株式会社○○ 入社
2021年2月 出産に伴い退職
「一身上の都合により」以外を履歴書に書いた方が良い3つのケース
先ほど「履歴書に退職理由を書く際は定形文でOK」と述べましたが、中には定型文以外を書いた方がよいケースがあります。
定型文以外を書いた方がよいケースというのは、下記3つの通りです。
【定型文以外を書く場合】
- 職歴の業界や業種にバラつきがある
- 退職日から長い時間が空いている
- 転職回数が3回以上ある
以下では、それぞれのケースに当てはまるという人に向け、その理由や書き方について解説していきます。
1.職歴の業界や業種にバラつきがある
これまで働いていた会社の業界や業種にバラつきがある場合は、定型文以外を記載した方がよいです。
なぜなら、業界や業種にバラつきがあると、面接官に「これまで習得したスキルが中途半端になっているのではないか」という不安を与えてしまうからです。
そのため、業界や業種にバラつきがある場合は、簡潔で伝わりやすい文章を入れて、一貫性があることをアピールするとよいでしょう。
たとえば、以下のような文章が考えられます。
2019年4月 株式会社○○ 入社
社内システムの提案営業に従事
2020年2月 エンジニア転身のため退職
このような書き方をしておけば、面接官に不安を与えてしまうこともありません。
2.退職日から長い時間が空いている
「退職日から転職活動開始まで長い時間が空いている」という場合も簡単な文章を添えておきましょう。
退職日から長い時間が空いていると、面接官に「この空いた期間何をして過ごしていたんだろう」という不安を与えてしまうからです。
転職活動の平均期間は2~3ヶ月程度であるため、6ヶ月以上の期間が空いている人は、具体的な説明を入れておきましょう。
たとえば、以下のような説明が考えられます。
2019年4月 株式会社○○ 入社
2020年1月 国家資格取得のため退職
病気や事故などでブランクが生じた際は下記のように書きましょう。
2019年6月 株式会社○○ 入社
2020年6月 治療のため退職(12月15日現在、完治)
また、退職後フリーランスとして活動していた場合は下記のような記入がおすすめです。
2019年4月 株式会社○○ 入社
2020年6月 一身上の都合により退職(6ヶ月間フリーランスとして活動)
履歴書で簡単に説明しておき、面接で詳しく説明するとスムーズに進みます。
3.転職回数が3回以上ある
転職回数が3回以上ある場合も、履歴書に簡潔な文章を添えましょう。
先ほどと同様、転職回数が多いと、面接官に「採用しても長期にわたって働いてくれないのではないか」という懸念を与えてしまうからです。
2回の転職歴がある場合でも、勤務していた期間が2回とも短いという人は、面接官が納得できるような文章を添えておきましょう。
具体的な例文については、下記を参考にしてみてください。
2019年12月 親の自宅介護により退職
2019年12月 引っ越しに伴い退職
また、ネガティブな印象を与えるような理由で退職した場合は、「キャリアアップのため」「新しい仕事に挑戦したいため」などのような理由に変換して記入しましょう。
ネガティブな理由を変換する際の例文は下記の通りです。
2019年12月 キャリアアップのため退職
2019年12月 他業界で挑戦するため退職
履歴書に転職理由を書く際の注意点【例文あり】
履歴書によっては「転職理由」という項目が設けられているケースもあります。
「転職理由をどうしても詳しく説明したい」という人は、転職理由を書くスペースが設けられた履歴書を購入するとよいでしょう。
以下では、面接官に不安や懸念を与えない転職理由の書き方を紹介していきます。
【履歴書の転職理由】リストラ・倒産など会社都合のケース
リストラ(人員削減)や倒産などで退職する場合は会社都合となるため、そのまま履歴書に記入しても基本的には問題ありません。
転職理由を書く際は、リストラや倒産などの経験を踏まえ、次の会社でどうしていきたいと思うかを述べるとより良い印象につながります。
転職理由を書く際の例文は下記の通りです。
【例文】
私が退職をした理由は、会社が業績悪化により人員削減を行ったからです。人間関係や仕事内容に不満がなかったため、非常に残念であったと思っています。前職では、テレアポや飛び込み営業を中心に営業活動を行っておりましたので、貴社が行っている提案型の営業に役立つスキルもあるかと存じます。今後は、新しい環境で更なるスキルアップをしていきたいと考えています。
【履歴書の転職理由】残業や業務過多などが原因のケース
残業や業務過多などが原因で退職する際も、基本的にはそのまま伝えて問題ありません。ただし、前職での不満のみを記載してしまうと、面接官にネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。
そのため、履歴書には「環境を改善するために行った自分なりの行動」「今後どのような意識を持って働きたいか」などを書くように心掛けましょう。
残業や業務過多のあった職場でいた経験は、書き方によっては武器にもなりますので、以下の例文をぜひ参考にしてみてください。
【例文】
前職の業務では、終業時間が夜中の0時を過ぎることがよくありました。エンジニアの仕事は好きなのですが業務過多となっていましたので、納得感を持って仕事をすることができなくなっていました。そのため、上司には一部アウトソーシングすることや納期の見直しなどを提案したのですが、最後まで改善されることはありませんでした。今後は、お互いにとって納得できるような環境で、 仕事をしていきたいと思っています。
【履歴書の転職理由】キャリアアップのために退職をするケース
キャリアアップのために退職をする場合、伝え方には十分注意しましょう。
なぜなら、「キャリアアップをしたい」という理由はポジティブに見える一方、「自分のことばかりを考えているのではないか」と懸念する面接官もいるからです。
そのため、
- 仕事にどれほどの熱意を持っているのか
- 仕事に対してどのように向き合っているのか
- 今後どのような気持ちで仕事したいと思っているのか
などといったことを文章に取り入れ、面接官に納得してもらうことが大切です。
【例文】
私はコンテンツ制作のディレクターになるためにキャリアアップを重ねていきたいと思っています。ですが、入社して2年経った今でも、サイトに設置するバナーを制作し続けるという業務が中心になっています。しかし私は、今後のキャリアアップを考える上で、ランディングページの作成や、システムの運用などを行っていきたいと思っています。そのため、貴社で製作者としてのスキルを更に高め、長期的に活躍できる人材になりたいと考えています。
【履歴書の転職理由】コロナ禍が理由で退職になったケース
2019年の5月からの「新型コロナウイルス感染拡大の影響」に伴い、退職することになったという人も多いと思います。
コロナの影響に伴った退職理由を書く際は、現場で起きたことを簡潔に説明し、今後どのような心構えで働いていきたいのかを述べるとよいです。
【例文】
私の所属していた会社は新型コロナウイルス感染拡大の影響により業績が傾き、人員削減などを行うようになりました。オンライン化やリモートワークへの対応が後手になったことが原因だと考えています。仕事内容や会社に対する不満はなかったため、断腸の思いで転職を決断した次第です。環境が変わったとしても、これまで通り誠心誠意仕事に取り組んでいきたいと考えています。
【履歴書の転職理由】想像していた仕事との違いを感じて退職したケース
「入社してみたものの想像していた仕事と違ったため退職した」というケースは多く見受けられます。
このような退職理由で面接官が懸念するのは「飽きっぽい性格なのではないか」「採用しても同じような理由で退職するのではないか」といった点です。
そのため、履歴書の転職理由には、「責任感をもって主体的に仕事に取り組みたい」という姿勢をアピールすることが重要になります。
【例文】
前職では事務職としての経験に加え、会社の広報に携わることが多かったです。より多くの人に会社を知ってもらうというお仕事には、とてもやりがいを感じていました。しかし私には、 営業職の人たちをサポートし、間接的でありながらも会社の売り上げに貢献したいという思いがあります。ですが、人事の都合上、どうしても広報という仕事から外れることができなかったため、転職することを決断しました。貴社では、事務職や広報で培ったスキルを活かし、営業職のバックアップと売上に貢献していきたいと考えています。
自己PRや志望動機に退職理由を書く際の注意点
職務履歴欄ではない欄(志望動機・自己PR)に退職理由を書く際の注意点は下記の通りです。
- 志望動機欄に書く場合は退職理由→志望動機になるように書く
- 退職理由を書く際はポジティブにまとめる
志望動機欄や自己PR欄に退職理由を書くのは例外であるため、以下で紹介する注意点には十分に留意しておきましょう。
志望動機欄に書く場合は退職理由→志望動機になるように書く
志望動機欄や自己PR欄に退職理由を書く際は、最終的に各項目で伝えたいことを述べるようにしましょう。
たとえば、志望動機欄の場合は、「退職理由→志望動機」。自己PR欄の場合は、「退職理由→自己PR」となるように記入します。
退職理由→志望動機の例文は下記を参考にしてみてください。
【例文】
私は前職で、店舗や法人に向けてカード決済端末機の営業をしていました。しかし、経験を重ね、他社製品を知っていく中で、自社で取り扱う製品に自信が持てなくなってきました。それは心の中で「このお店は自社製品よりA社の製品を利用するメリットの方が大きいな」と思うことがあったからです。このような経験から、自社の製品を売るのではなく、お客様の要望に応じて製品を開発するエンジニア職に興味を持ちました。今後は自分の仕事に誇りを持ち、お客様と貴社の発展に貢献できる人材になりたいと思い、応募させていただきました。
退職理由を履歴書に書く際はポジティブにまとめる
退職理由を書く際は、どのような場合においてもポジティブにまとめることが大切です。
結婚や出産など、前向きに捉えられる退職理由であればよいのですが、業務過多や人間関係など、どうしてもネガティブになってしまうケースもあるかと思います。
ネガティブになりそうな退職理由を書く際は、下記のポイントを意識してみてください。
- 今後の展望について熱意を持って述べる
- 会社都合であっても他責ではなく自責にする
- 一度書いた退職理由を客観的な目線で再度チェックする
これらのポイントを押さえておけば、面接官に懸念を与えることもないため、書類選考の突破率が飛躍的に上がります。
履歴書に退職理由を書く際は面接官目線を忘れずに
履歴書に退職理由を書く際は、面接官の目線を忘れてはいけません。
「この退職理由を見て面接官はどのように考えるだろうか」
「この内容を見て面接官はネガティブに捉えないだろか」
このような視点を持っておけば、失敗を未然に防ぐことができますし、書類選考の突破率も上がります。
まずは、自分自身の退職理由を嚙み砕き、定型文の記載だけでよいのかどうかを考えてみましょう。定型文ではなく文章を記入する際は、本記事で紹介した例文を参考にしてみてください。