新しい職を探す際、必ず参照するのが求人票です。求人票では、企業の募集要項や採用条件などを確認できますが、初めての就職活動で見方が分からない人もいるのではないでしょうか? また、優良企業に転職するため、求人票の押さえるべきポイントを知りたい人もいるでしょう。
本記事では求人票の見方と、就職・転職に失敗しないためのチェックポイントについて、解説していきます。求人票の正しい見方を知っておくことで、自分に合った企業を見つけやすくなります。
ハローワークの求人票を例に見方を解説
求人票に記載されている情報は企業によって異なるため、見方も変わってきます。しかし、内容自体に大きな差はないので、ハローワークのフォーマットを基に、求人票の見方を解説します。
求人票の見方:受付年月日・紹介期限日
求人票を受付した日と、掲載する期間が記載されています。人気企業の場合、紹介期限日が先であっても募集定員に達した場合、求人票の掲載が終了する可能性もあります。受付年月日から日数が経過している求人票については、注意するようにしましょう。
求人票の見方:仕事内容
就職した場合の業務内容が記載されています。自分の興味のある業務内容、また知識や経験を活かす企業に就職するためにも、仕事内容は必ずチェックすべきポイントです。
求人票の見方:雇用形態
雇用形態は正社員や派遣社員など、下記4種類のいずれかが記載される項目です。
正社員 | 契約期間が定められておらず、定年まで労働できる雇用形態。 |
正社員以外 | 契約期間が定められている雇用形態。契約社員、準社員、嘱託などが当てはまる。 |
登録型派遣労働者 | 派遣先で業務に就いている場合のみ、給与が支払われる雇用形態。一般的な派遣社員に当たる。 |
常用型派遣労働者 | 派遣先で業務に就いていなくても、給与が支払われる雇用形態。 |
求人票の見方:年齢
求人に年齢制限を加えることは、法律で禁止されています。しかし、厚生労働省が定めている事項に該当する場合、年齢制限を設けることが可能です。例えば、技術やノウハウの継承が必要となる職種の場合、年齢制限を認めるのが特例として挙げられます。
年齢制限に関する詳細は、厚生労働省の「募集・採用における年齢制限禁止について」に記載されています。
求人票の見方:応募に必要な経験・スキル・資格
企業によっては同業界で5年以上営業経験がある、TOEIC800点以上など、応募条件を提示している場合があります。要件を満たしていない場合、応募しても不合格になる、もしくは不利になる可能性があるので、自己分析も兼ねてチェックしておきましょう。
なお、応募条件は必ず満たす必要はなく、内容次第では面接を受けることも可能です。まずはスキルや経験を職務経歴書に記載してアピールすることになりますので、職務経歴書の書き方については下記をご参考にしてください。
求人票の見方:就業場所
勤務する場所が記載されています。求人票では、事業所の所在地情報を確認できますが、実際の就業場所は異なるケースもあります。自宅から通える範囲にあるか、就業場所はチェックしておきましょう。
求人票の見方:試用期間
一般的には、試用期間を3~6ヶ月としている企業が多いですが、期間中は賃金体系や勤務地が正規雇用後と異なるケースもあります。適性を検査するために試用期間を設けている企業がほとんどなので、特に給与などの待遇面は確認しておきましょう。
求人票の見方:賃金
求人票には賃金面として、給与・賞与・昇給・賃金形態が記載されています。給与が高くても、賞与や昇給の回数が少ないというケースもあるので、賃金面は総じてチェックするようにしましょう。
また、賞与と昇給は前年度の実績となるので、採用後に同じ金額、回数が保証されるわけではありません。日本の情勢や会社の景気によって数字が上下する可能性も十分あるので、ご注意ください。
求人票の見方:労働時間
労働時間には、就業時間や休日などが記載されます。目安としては、それぞれ1企業の平均就業時間と、平均年間休日総数を知ると良いです。それぞれの平均については、下記表の通りです。
平均就業時間 | 7時間46分 |
平均年間休日総数 | 114.7日 |
平均値から大きく離れすぎていない企業を探すのも、一つのポイントと言えます。
就職・転職に失敗しない求人票の見方
誰もが避けたいブラック企業への就職ですが、求人票の正しい見方を知れば、ホワイト企業を見つけることも十分可能です。就職・転職に失敗しないためにも、次にご紹介する求人票の見方を押さえておきましょう。
募集定員の多さ
募集定員の多い企業は人の入れ替わりが激しい可能性があるので、ブラック企業を疑ったほうが良いです。定員の多さの目安としては、従業員数の約1割と言われています。ただし、大手や新規事業を立ち上げる企業に関しては、この限りではありません。中小かつ業績が伸び悩んでいる企業は、必ず募集定員の数もチェックしておきましょう。
また、先述しました求人票の受付年月日を見て、掲載期間が長ければ人が集まっていない、もしくは入れ替わりの激しい企業と捉えるのも一つです。
賃金が高い
給与が高かったり、賞与・昇給が多い場合、ブラック企業である可能性があります。何故なら、賃金の高さは仕事の辛さに比例するケースがあるからです。賃金の多さでブラック企業を見極めるためにも、下記年齢別の平均給与は必ず把握しておきましょう。
もし、賃金面の条件が良ければ業務・責任が重い、もしくは賞与・昇給が低い可能性もあるので、ご注意ください。
良いフレーズを並べている
ブラック企業は実態を隠して人材を集めるため、求人票に良いフレーズを並べるケースが多いです。例として、下記のようなフレーズが挙げられます。
フレーズ | 内情 |
---|---|
アットホームな職場 | ・上層部のワンマン経営 ・コミュニティが出来上がっているため、新卒・転職者は職場の雰囲気に慣れにくい |
選考回数が少ない | ・人材不足のため、すぐに人員が欲しい |
固定・みなし残業代 | ・残業代が給与に含まれている |
特に、アットホームな職場など、どの企業でも言えるフレーズは要注意です。何故かと言うと、その企業特有のアピールポイントがなく、一般的に受けが良いフレーズを使用しているだけだからです。独自のアピールポイントがあるかも、チェックすべき項目と言えます。
管理部門の求人票へ応募する時のポイント
経理や総務、人事など管理部門の求人票へ応募する場合、他の職種と異なりいくつかポイントを押さえておく必要があります。そのポイントと理由について、解説していきます。
行きたい企業は早めに応募する
管理部門の応募には何故早めに応募すべきかと言うと、単純に人気の部署だからです。管理部門は構成人数が少なく、また現場に出る営業職や技術職と異なり、非常に働きやすい部署となっています。よって、人の入れ替わりが少ないため、募集自体がかけられにくい部署です。
応募に迷っていると、すぐに募集定員が埋まる可能性もあるので、早めの決断を心掛けましょう。
大手企業の狙いすぎはNG
管理部門において、大手企業ばかり狙うのは避けたほうが良いです。先述の通り、人気の部署であることも一つの要因ですが、管理部門は他部署から人材を補完されるケースも多いからです。
特に、大手企業は異動も頻繁に発生する傾向があるため、募集の少ない管理部門の求人を待っていては、なかなか職に就けないかもしれません。管理部門に応募する場合は、中小企業にも目を向けるようにしましょう。
自身に適した求人票が見つからない時は?
自分で求人票を探していても、最適な企業が見つからないのは頻繁に起こり得ますが、その時は転職エージェントとハローワークを利用するようにしましょう。ここでは、2つのサービスを利用するメリットについて、解説していきます。
転職エージェントに相談する
求職者と企業を結びつける転職エージェントですが、キャリアアドバイザーに相談することで、非公開求人を紹介してもらえる大きなメリットがあります。非公開求人とは、インターネット上に公開されていない優良企業が揃う求人のことを言います。
キャリアアドバイザーは非公開求人の中からも提案してくれるので、自分では見つけられない優良企業に就職できる可能性も高まるでしょう。
ハローワークで地元の企業を見つける
ハローワークでは、転職サイトに掲載されないような地元企業の求人を多く取り扱っています。地域に密着した職員に求人を相談すれば、知られていない優良企業の情報を得られるので、地元で就職したい人にハローワークはおすすめです。
ただし、ハローワークにはブラック企業の求人が紛れ込んでいる可能性もあります。理由としては、ハローワークは転職サイトと異なり、無料で求人票を掲載できるからです。無料がゆえ、採用活動に力を入れず、人材を大切にしない企業もあるので、一度ハローワークの職員に相談するようにしましょう。
正しい求人票の見方で後悔しない就職・転職を
就職・転職活動時に誰もがチェックする項目と言えば、給与や勤務地、仕事内容などが挙げられます。しかし、求人票に記載されている良い面ばかり見ていると、企業の実態に気付くことはできません。本記事でご紹介しました求人票の基本的な見方だけでなく、就職・転職に失敗しないための見方も必ず知っておきましょう。
それに加え、管理部門を目指している人は人気の職種ゆえに、素早い行動と決断力が必要となります。管理部門の職になかなか就けないという人は、転職エージェントやハローワークの利用も検討してみてください。