人事・労務

HSP転職者を活かす方法。人事が知っておきたい3つのコツとは

HSP転職者を活かす方法。人事が知っておきたい3つのコツとは

「敏感すぎて生きづらい」。5人に1人の確率で先天的な特徴を持っているとされるHSP。最近注目されているものの、自覚がない場合は「自分だけなぜこんなに仕事が辛いのか」と悩んでいる人も多いでしょう。

そんなHSP転職者がいる場合、どうすればいいのでしょうか。この記事ではHSPの特徴・ストレスを感じやすい仕事、そして人事として知っておきたい3つのコツをご紹介します。HSPの特性を活かして働いてもらい、お互いがWin-Winの関係を築けるよう、ぜひ参考にしてください。

HSPとは一体何?どんな特徴があるのかを紹介

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HSPはHighly Sensitive Personの頭文字をとった言葉で、人の感情・言葉・行動・雰囲気などを敏感に察知・共感してしまい、ストレスをためてしまう特徴を持った人のことを指します。HSPは5人に1人ほどの割合で存在するといわれているため、今も自社内にたくさん悩んでいる人がいるはずです。

この特徴は先天性のため、無理に治そうとするとよりストレスがたまり、心身ともに疲れがとれなくなってしまいます。従って苦手を克服しようと考えるのではなく、特性を活かした仕事に就いてもらうことが重要です。まずはHSPの特徴を知り、仕事に活かせる特性を見つけていきましょう。

 

HSPの特徴

HSPは下記のような特徴を持っています。

  • 神経が細やか
  • 共感力が高い
  • 興味のあることを突き詰める
  • 感受性が強い
  • 人混みが苦手

 

HSPの特徴:神経が細やか

HSPは敏感で、些細なことが気になるという特徴を持っています。音や言葉など他の人は気にならない程度の大きさや内容でも敏感に反応するため、あらゆることが刺激となって疲れが出やすいです。仕事に活かす方向で考えると、他の人なら気がつかないような細かいことにも気が回るというメリットがあります。

 

HSPの特徴:共感力が高い

敏感で共感しやすいため、人の感情に共感して疲れる・他人が怒られているのを見て同じように悲しくなるなどの特徴があります。仕事でこの能力を活かすことを考えると、他の人よりも他者への共感度合いが高いため、共感力が求められる仕事には適性があるといえるでしょう。

 

HSPの特徴:興味があるものを突き詰める

競争し合うような環境に置かれるとストレスがたまってしまいますが、逆に物事をじっくり考えたり、突き詰めたりするのは得意です。1つのことに集中できる性質があるため、突き詰めて取り組むような仕事には適性を見いだせるでしょう。

 

HSPの特徴:感受性が強い

HSPは1つの物事であっても多面的に捉える力があるため、些細な出来事でも落ち込むことがあります。しかし、このように感受性が強いということは人よりも多くのことを受け取り、多角的なものの見方ができるともいえます。

 

HSPの特徴:人混みが苦手

HSPは敏感であるため、物音・人の感情・言動にさらされる人混みなどはとても苦手です。人混み以外にも、多くの人と関わる場合はストレスがたまりやすくなります。逆に自分のペースでじっくり取り組める・1つのことに集中できるような仕事だと能力を発揮できます。

 

HSPがストレスに感じやすい仕事の特徴

次に、HSPがストレスに感じやすい仕事の特徴をご紹介します。人事としてHSPの得意分野を知るのも重要ですが、逆にストレスに感じやすい仕事の特徴を知っておくことも大切です。また、HSPの中でもその強度や苦手なものは人によって異なることを理解しておきましょう。

  • マルチタスクを求められる
  • 競争やノルマなどがある
  • 大勢の人と関わる
  • 急かされる

上記のような仕事は、HSPがストレスを感じやすい仕事といえるでしょう。

 

HSPが苦手な仕事:マルチタスクを求められる

マルチタスクを求められる仕事としては、システム開発のプロジェクトマネージャーのように各所との調整が必要になる仕事が挙げられます。その他に、ホームページ制作を担当するWebディレクターや管理職全般も当てはまるでしょう。また、総務・人事などは特に社内外問わずやり取りが多く、全社を横断したスケジュールを管理することが多いため、マルチタスクを求められる仕事といえます。

 

HSPが苦手な仕事:競争やノルマなどがある

動画やWebなど数値化が可能な広告全般や営業職全般は、競争やノルマなどがあるため苦手に感じるHSPも多いでしょう。マルチタスクと同様、常に頭の中に別のことが存在している状態で働くと、落ち着いて物事に取り組めない場合もあります。また、ノルマや競争などのシーンでは上司から叱責されるようなシーンもあるため、ストレスがかかりやすい仕事といえるでしょう。

 

HSPが苦手な仕事:大勢の人と関わる

1人で集中できる仕事が理想のHSPにとって、真逆の環境となる大勢の人と関わる仕事はストレスがたまりやすいといえるでしょう。人混みの中に常にいるような感覚になりやすい仕事には、配置しない方がいいでしょう。

 

HSPが苦手な仕事:急かされる

証券・マスコミなど秒単位で動く必要のある仕事や、広告などクライアント意向に沿って動く仕事の場合は急かされるシーンが多くなりがちです。納期が相手によって変化するものなどは特に急かされるシーンが増える可能性があるため、配置を避ける方が望ましいでしょう。

 

HSPの転職者を活かす仕事とは?

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次に、HSP転職者を活かす仕事がどんなものかを見ていきましょう。こちらも人によってHSPの強度や特性に濃淡があるため、個人ごとに適性を見て配置を検討しましょう。

  • 神経が細やか
  • 興味があるものを突き詰める
  • 共感力が高い
  • 人混みが苦手

 

HSPにおすすめ:正確さを生かせる仕事

神経が細やかであれば、人が気づかないような細かい部分にまで気が回るため、正確さが求められる仕事などで能力を活かせる可能性があります。例えば、研究・開発・設計・エンジニア系職種(プログラマー・システムエンジニア・インフラエンジニア・ネットワークエンジニア等)・アナリスト・コンサルタント・経理・通訳・校閲などがあります。自社の中でも正確性が問われるチェック業務や、分析系の仕事に就いてもらうと能力を発揮できるでしょう。

 

HSPにおすすめ:興味があるものを突き詰められる仕事

HSPは集中して物事に取り組めるため、興味があるものを突き詰めるのが得意な場合も多いです。アーティストのように追求する仕事に就いてもらうといいでしょう。

職種としては、WEBデザイナー・ライター・イラストレーター・カメラマン・ゲームクリエイター・コピーライターなどがあります。今ご紹介した職種以外にも、自社の中で職人のように突き詰めて物事に取り組む特徴を持った仕事についてもらうといいでしょう。

 

HSPにおすすめの仕事:共感力が求められる仕事

共感力が高い場合は、他者への共感が仕事に活かせる職種に就いてもらうのがおすすめです。共感する相手は人だけが対象ではないため、動物や植物に関わる仕事でもその能力を発揮できます。

対象が人間であれば講師・コーチ・介護士・介護福祉士・整体師・鍼灸師・教師・臨床心理士・カウンセラー・セラピストなどがあります。

また、対象が動物であれば獣医・ドッグトレーナー、植物であれば花屋・造園業なども考えられます。自社の中で専門分野を教える講師や、カウンセラー業務などもおすすめです。

 

HSPにおすすめ:人混みを避けられる仕事

人混みが苦手という特性を活かして働くなら、在宅で働く仕事やコツコツと自分のペースで働ける仕事についてもらうといいでしょう。

社内でもオンライン秘書のようにリモートワークで働く、あるいは1人の空間で働けるドライバー職種に就いてもらうのもいいでしょう。

在宅でできる仕事の場合、1人で集中できる環境を整えれば働く環境について心配する必要はありません。もし自宅に家族や同居人がいる場合は、サテライトオフィスなどで働いてもらってもいいでしょう。対面や電話でやりとりする必要がなければ、直接のコミュニケーションが苦手という方も安心して働くことができます。

 

HSP転職者に活躍してもらう3つのコツ

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では最後に、HSP転職者に活躍してもらう3つのコツをご紹介します。

HSPに活躍してもらうコツ:長所に特化する

1つ目は長所に特化することです。HSPはあらゆることに対して敏感であるため、他の人に比べて苦手なことが多くなりがちです。

家族や友人から「他の人はできるのに、なぜあなただけできないのか」などと言われているかもしれません。しかし、HSPを生まれ持った個性として捉え、その個性を活かせるような仕事に就いてもらえばいいと考えていきましょう。

これはHSPだけを特別優遇すべきということではなく、全員が適材適所で働けるようなタレントマネジメントが重要だということです。

これまでは画一的な働き方が強制されてきましたが、これからの時代は多様性を持った人材が働ける環境を整えていく必要があります。「この人の長所を活かしてもらうには?」という観点で社内の制度や環境を整えるようにすると、HSP転職者だけでなく全従業員にとって働きやすい会社が作れます。

働きやすい会社であることが広まれば、近い将来自社の採用力の強化にもつながるというメリットも生まれるでしょう。

 

HSPに活躍してもらうコツ:自分のペースが守れる仕事に就いてもらう

2つ目は、HSP転職者のペースが守れる仕事に就いてもらうことです。他人のペースで動く仕事は、マルチタスクが得意で対応力がある人が得意とする分野なので、その人にやってもらいましょう。逆に対応力がある人が苦手なコツコツした作業はHSP転職者にやってもらうのがおすすめです。

例えば人事労務が行うような入退社手続き・給料計算、経理業務やデータ分析の仕事など、HSPの性質的に得意な仕事で他人にペースが乱されない仕事に就いてもらうといいでしょう。

HSPだけでなく、他の人も苦手・得意分野が分かれていますから、HSPが得意でも他の人が苦手という仕事に就いてもらえば、会社としても人数に偏りが出るなどの問題が起こりづらいです。

 

HSPに活躍してもらうコツ:HSPの特徴の中でもその人が得意な仕事を知る

3つ目はHSPの特徴の中でも、その人が得意とするものを知ることです。人の性格は皆違うように、HSPの特性にも濃淡があります。人混みはとても苦手だけれど、実は人前に立って教えることは得意という方もいるでしょう。HSPの特徴を活かせる仕事の中でも、特にその人の得意なものと合致するように仕事に配置すれば仕事を楽しみながらキャリアも磨いてもらえます。

 

HSPの特性を理解しよう!

HSP転職者に活躍してもらうために、人事が知っておきたいコツをまとめてご紹介しました。今回ご紹介したコツはHSPの持つ特性を理解し、活躍できる環境を用意するのに役立つだけでなく、全従業員の能力を活かす人材配置にも活かせます。

少子高齢化による人口減少が著しい日本では、今後働く人の多様性を受け入れながら能力を活かすマネジメントが大変重要になってくるはずです。人事として優秀な人材が集まる会社にするためにも、ぜひ今回のコツを活用して企業成長を促進していきましょう。

Back Office Magazine
高下真美
記事の作成・監修者 高下真美
フリーライター

人材紹介・派遣ベンチャーで2年、その後リクルートジョブズで8年営業を経験し、フリーライターに転身。そこで得たさまざまな業界の知識と経験を活かし、現在は導入事例・採用ページなどのインタビューからSEO記事まで多方面で活動中。

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